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地球のかけら

【第81回】銅

2011年11月 1日

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アズライト ※画像はウィキペディアより

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ブロシャンタイト ※画像はウィキペディアより

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ダイオプテース ※画像はウィキペディアより

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オーリチャルサイト ※画像はウィキペディアより

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カルカンサイト ※画像はウィキペディアより

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シアノトリカイト ※画像はウィキペディアより


いきなり6つの石を並べてみましたが、これらに共通するものはなーんだ?

ヒント
色はすべて青もしくは緑。

これでピンときたかな。

よし、それならば日本名を書いてみよう。

アズライト     → 藍銅鉱(らんどうこう)
ブロシャンタイト  → ブロシャン銅鉱(ぶろしゃんどうこう)
ダイオプテース   → 翠銅鉱(すいどうこう)
オーリチャルサイト → 水亜鉛銅鉱(すいあえんどうこう)
カルカンサイト   → 胆礬(たんばん)
シアノトリカイト  → 青針銅鉱(せいしんどうこう)

どうかな。
これなら一目瞭然。
答えは銅。
そう、これら鉱物はすべて主成分が銅である、銅鉱物なのだ。

強いていうなら胆礬だけは銅の文字が入っていないけど、
中学の理科の実験で作った硫酸銅のことだよ。

というわけで写真を見てもわかるように、銅鉱物は基本的に緑、もしくは青い色がつく。
この緑という色がミソで基本的に銅鉱物は緑になることが多い。
緑の原因としては銅がイオンの形で結晶に取り込まれたときに緑に発色する。

中学か高校のときに理科の実験でやった炎色反応(えんしょくはんのう)って憶えてる?
それぞれの原子を燃やすとその原子特有の色を出して燃えるというヤツ。

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 ※画像はウィキペディアより

これが銅の炎色反応。
この緑が銅の持っている色だと思ってほしい。
だから石でも水溶液でもこの色をしていたら、とりあえず銅が含まれていると考えるといいと思う。

じゃあ、なぜ青もあるのかというと、んー、エネルギー準位の周波数が
若干の電子軌道のズレによって(スイマセン、このくらいでカンベンしてください)。
とかなんとかなのだそうだ。
 

そんな銅鉱物ですが、実はずっと前から紹介したかったんだ。
だって、キレイでしょ。
あらためて写真を見てください。
銅鉱物ってこんなにキレイなものもあったんだよ。

ほら、銅鉱物としての有名どころはキャルコパイライト(黄銅鉱:おうどうこう)
とかマラカイト(孔雀石:くじゃくいし)でしょ。
だから銅鉱物っていったら、どうしてもそれらのイメージで金属光沢だったり
光が透らなかったりすると思い込んでいたりする。

アズライトとダイオプテースは比較的名前が売れているけど、
この2つも銅鉱物だということを知らなかったという人は意外と多いんじゃないかな。


こんなに美しい結晶ならば、やっぱり欲しいところなんだけれど、
実はこれらの鉱物をまともな形のまま採集することは極めて難しい。

私たちが紫水晶を採集しによく行く産地に
石川県小松市の尾小屋鉱山という金属鉱山がある。
紫水晶は金属鉱山でたくさん見つかるからなんだけど、
日本は銅が豊富だから金属鉱山というと基本は銅鉱山。

だから山を歩いていると黄銅鉱や孔雀石がけっこう落ちている。
でも、その中に写真のような鉱物はほとんどない。
なぜなら、これらは2次鉱物がほとんどだから。

んー、銅鉱物を取りあげると、2次鉱物をさけてとおることは出来ないね。
2次鉱物とはいったんできあがった鉱物が地表に出て、
何年も風雨にさらされたり太陽の紫外線に焼かれたりしているうちに、
徐々に分子の構造が変わったり別の元素が追加されたりして違う鉱物に生まれ変わったもの。

写真の中では藍銅鉱、水亜鉛銅鉱、胆礬が2次鉱物になるかな。
しかも、それらがさらに変化して孔雀石になったりする。
 
ということは山の表面に出ないと作られることはないのだから、
どんどん分解していくばかりで形をとどめておくことがむずかしい。
せいぜい孔雀石を拾い上げて「何年か前は藍銅鉱だったかもしれないね」と、
思いを馳せることしかできない。

胆礬なんて、坑道の天井に鍾乳石のようにぶら下がっているっていうんだから、
そんなの危なくて採集なんてできません。

とはいえ、とにかく日本は銅鉱山が多いから、
いつかきっと大きな結晶を見つけられるかもしれないという希望だけは持っています。


ところで、話は変わるんですが、秋、だいたい9月から11月いっぱいくらいは
鉱物採集ってイマイチ出来ないんですよね。

理由は単純で、ちょうど松茸シーズンだから。
あちこちの山が松茸山として入山禁止になってしまう。
ムリして入って松茸泥棒に間違えられたくないし。

ところが、最近はムリして入って地権者の人とトラブルを起こす人が増えているそうなんですよ。
いくら鉱物採集で松茸とは関係ないといっても、それは通らない。

「李下に冠を正さず」。
怪しまれる行動を慎むのもマナーのひとつです。

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