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地球のかけら

【第52回】ムーンストーン

2009年6月 1日

あるところに地図に載っていない山深い谷がある。
とても常人が近づけるところではないという。
その谷を地元の人たちは「●●谷」と呼んでいた。

●●谷。
なんだかそこへ行ったら二度と帰ってこられない感じがする。
なぜ、そんな名前がついたんだ?
きっとそこには魔物がいて、谷を守っているのだ。

ところで、しばらく前、石友からムーンストーンをいただいた。
本来だったら自分たちで採りに行きたいところなんだけど、その場所がなんと●●谷だという。

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上手な写真が撮れなかったため、以前、私たちのブログ「りょうくみ徒然草」で紹介したことのある写真を使いました。
そうそう、「りょうくみ徒然草」は去年の10月に私が管理者パスワードを忘れてログインできなくなったため、更新がストップしていたんです。でも、今年の2月から「新りょうくみ徒然草」がスタートしてますので、ぜひまたのぞいてみてくださいね。

あ、話を戻します。
どうです。とてつもなくキレイでしょ。
ムーンストーン自体は意外なことに、日本全国けっこうどこででも見つけることができる。ただ、キレイかどうかとなると、そうそう理想どおりのものは見つからない。
しかし、このムーンストーンはどうだ。
写真がへたくそなのは勘弁していただくとして、無色透明な地に青いシラーが光っている。これはもう、ロイヤルブルームーンストーン以上のムーンストーンといっていいのではないだろうか。。
この石が、●●谷には辺り一面に散らばっているのだという。


さて、ムーンストーンといえば6月の誕生石で蟹座の守護石。
その昔インドでは「月の光が固まったもの」と信じられていた。
幸運をもたらしてくれるというこの石は、もうひとつ、「満月の夜に口にくわえると自分の未来が見える」という石でもある。

以前、ムーンストーンのことを書いたとき、こう紹介したんだけど、憶えてる?
第13回
もちろん、みなさん知っていると思うんだけど、ムーンストーンは月の石だから、1週間に1回は月光浴をさせて、月のパワーをしっかり石に宿しましょう。

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(※画像はウィキペディアより)

本来のムーンストーンは白地の石の上にユラユラとした白い光が浮かび上がる石のこと。
その白い光のことを「シラー」または「アジュラレッセンス」といって、これこそがムーンストーンの特徴。
「シラー」の方が名前的にはメジャーだから、この名前だけ憶えておいて問題ないけど、たまにアジュラレッセンスと書いている本もあるから悩まないようにね。
その後、青いシラーのムーンストーンが発見されて、ブルームーンストーンと名付けられた。

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(※画像はウィキペディアより)

このふたつの色の違いは、シラーを作り出している層の厚さによる違い。厚いと白、薄いと青になる。
さらにその後、地が無色透明になったブルームーンストーンも見つかって、それがロイヤルブルームーンストーンとなった。
今はこのロイヤルブルームーンストーンが一番高価なのかな。今のところインドでしか見つかっていない。

そして最近、レインボームーンストーンという名前の石が出始めた。
なんだかすごいムーンストーンのような感じがするけれど、これはラブラドライトのこと。
地が白くなったホワイトラブラドをレインボームーンストーンと呼んでいる。
どのお店も「レインボームーンストーンはホワイトラブラドライトです」と明記しているから間違えることはないと思うけど、うっかり勘違いしないように注意しましょう。
と、いいつつ、ロイヤルブルームーンストーンのなかに、七色に光るものも実際にあるらしい。
それはレインボーロイヤルブルームーンストーンというんだけど、私はまだ見たことがない。
きっと、ものすごくキレイだろうことは想像できるんだけど、少し名前が長いよね。


ちょっと第13回とかぶるんだけど、ムーンストーンを鉱物的にいうとフェルドスパーという石に分類される。

フェルドスパーは日本名で長石(ちょうせき)。
長石という名前の石があるのではなく、細かく分けると20種類以上になるグループの総称。
その長石グループの中にムーンストーンもラブラドライトも入っている。
だから、ホワイトラブラドをレインボームーンストーンと呼ぶのは広い意味では間違っ
ていないといえるかもしれない。
しかし、第13回で書いた分類より、さらに細かく分類するならムーンストーンは月長石(げっちょうせき)、ホワイトラブラドライト(ラブラドライト)は曹灰長石(そうかいちょうせき)だから、やっぱり違う石とするべきだろう。
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(※画像はウィキペディアより)
 

長石グループの中で他に人気のある石としてサンストーン(日長石:にっちょうせき)とアマゾナイト(天河石:てんがいし)がある。

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(※画像はウィキペディアより)

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(※画像はウィキペディアより)

鉱物名でいうと、アマゾナイトは微斜長石(びしゃちょうせき)。サンストーンは曹灰長石(そうかいちょうせき)となる。

はっ! ラブラドライトとサンストーンは同じ石だ。今、気がついた。


地図に載っていない地名。魔物に守られる●●谷のムーンストーン。
満天の星空と覆い被さるような山の影。
沢のせせらぎと動物の声。そして木々のざわめき。
そこに自分がいると想像してみてほしい。
満天の星が天空にあるのかそれとも地上にあるのか、わからなくなるに違いない。

たぶん、世界中にあるすべてのムーンストーンは何千年もの間、魔物によって守られて来たのだろう。
その力がムーンストーンを持つ者を守ってくれるに違いない。


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お知らせです! &プレゼント企画!!


 

カミさんのくみ子がパワーストーン・天然石のアクセサリーショップを始めました。
ショップの名前は「アトリエくみん」。
カミさんこだわりの石を使ったハンドメイドのアクセサリーショップです。

アトリエくみんはこちらです。
kumingrogo.gif

ぜひのぞいてみてくださいね。

そこで今回はオープンを記念しまして、私たちが採集した国産の石を使ったアクセサリーを10名様にプレゼントします。

プレゼントは以下のとおりです。

01 アメシスト(紫水晶)石川県小松市産
これぞ日本の雅。 淡くはかない紫に日本の美が凝縮されている。
↑ちょっとほめすぎ?紫というより藤色。
 

02 アメシストクオーツ(紫石英)石川県小松市産
まるでブラジル産と見まごうほどの濃い紫。
日本産クオーツでここまで濃い紫は他に見たことがない。
 

03,04 クオーツ(水晶)石川県小松市産
非常にクリアでインクルージョン(内包物)がない。水晶も自然のものだから、内包物が入っていて普通の状態。この水晶のように内包物のない方が実はまれなのです。
 

05,06 南洋美人(しいていうならフォール・スノー・クオーツ)岐阜県中津川市産
スモーキークオーツの上にまるで雪が降っているように白い粒がある。
さらにそれを無色の水晶が覆っている。こんな水晶は世界中でただ1か所、ここからしか産出しない。

07 グリーンフローライト(蛍石)岐阜県関市産
ブラックライトで青く光ります。
カラオケボックスでもポウッと光るかも。
 

08 ブルーフローライト(蛍石)岐阜県関市産
淡いブルーのフローライト。しかし、ブルーは希少とにかく希少、超希少。
今回の目玉かも。同じくブラックライトで青く光ります。
 

09,10 コランダム(サファイア)富山県南砺市産
利賀村のサファイアといえば、鉱物マニア垂涎の石。もし近くに鉱物好きがいたら、絶対に自慢してください。かなりビックリするはず。

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【ご注意】
○石の指定はできません。
○チェーンはついていません。トップのみです。


 応募は締め切りました。沢山のご応募ありがとうございました。

 

【第51回】ラズライトとラズライトとアズライト

2009年5月 1日

ラズライトとラズライトとアズライト……。

似た感じの石の名前を並べてみました。
って、最初の2つは同じなんですけど、違う石なんですよね。

普通、鉱物名でラズライトといえば青金石(せいきんせき)のこと。宝石名ラピス・ラズリ(瑠璃:るり)の青の部分。。

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※画像はウィキペディアより

この写真はラピス・ラズリの結晶(めずらしいよ)

このラズライトが有名すぎて、もうひとつのラズライトが完全に陰に隠れてしまっている。

もうひとつのラズライト。
それは天藍石(てんらんせき)。

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※画像はウィキペディアより

写真はちょっと白い部分が多いけれど、青い部分が天藍石。ラピス・ラズリに勝るとも劣らないキレイな色をしている。
青い部分だけを取りだしてみると見た目もほとんど区別がつかないんじゃないかな。

で、何が違うかっていうと、英語で書いたときラズライトの真ん中の「ラ」が「L」か「R」かというところ。

天藍石はL → lazulite 
ラピス・ラズリがR → lazurite

日本語でこの区別は不可能です。

事実、石を取り扱っている本でもホームページでも2つのラズライトがごっちゃになっていることが多くある。
「ラピス・ラズリの主成分はラズライト(天藍石)です」というふうに。

ラピス・ラズリの主成分は「ラズライト-R(青金石)」。
「ラズライト-L(天藍石)」はまったく別物の石。ついつい混同しちゃうんだろうけど、ラピス・ラズリに「ラズライト-L(天藍石)」は含まれていません。
ぜひぜひ、この機会に2つのラズライトを覚えてもらえたら嬉しいです。
(あー、このあたりは自分で書いててもごちゃごちゃになるよ)


さて、もうひとつのまぎらわしい名前。アズライト。

アズライト(藍銅鉱:らんどうこう)

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これまた似たような名前だね。でも、アズライトは先頭がハッキリと「ア」だから大丈夫。
この石も銅を主成分としているところが同じ。藍色の結晶は光が通ってとても幻想的。

ところで、このアズライトの一種として、アズルマラカイトというアズライトとマラカイト(孔雀石:くじゃくいし)がひとつの石の中に存在している石がある。

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どうかな。地球のように見えませんか。
アズライトの青が海でマラカイトの緑が森。まるで地球の一部が切り取られてそこにあるように見える。
私はこの石がけっこう好きなんだよね。


ここまで、まぎらわしい名前の3つの石を紹介してきたんだけど、この3つの石は昔から顔料として多く使われてきた石でもあるんだ。 

顔料というのは「岩絵の具」のことで、昔はキレイな色の石を砕き粉にして使っていた。現代でも画家の多くは「岩絵の具」を使って絵を描いているそうだ。ものすごく高価らしいけどね。

一番有名なのはラピス・ラズリ。前述のとおり日本では瑠璃と呼ばれていた。
今でも「瑠璃色の……」というのは多いよね。

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※画像はウィキペディアより

アズライト。ラピスに瑠璃という古い日本名があるように、アズライトにもそれがある。
それが、群青(ぐんじょう)。

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※画像はウィキペディアより

そして、天藍石。あまり一般的ではないけれど紺青(こんじょう)という名前がある。

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※画像はウィキペディアより

これらは化学商品辞典(同文館)に載っていた。

でもさ、実際の石の色と比べると、ちょっとピンと来ない気がしない?
そう思ってさらに調べてみると、なんだか変なことになっていた。

えっと、ラピスは瑠璃で、顔料になるとヨーロッパではウルトラマリンと呼ばれているんだけれど、その色は群青色で瑠璃色とは違うのだそうだ。
じゃあ群青は? と来ると、群青色でもいいらしい。
……。
これ以上は訳がわからなくなったのでパス。


ラズライトとラズライトとアズライト。
こんなときのために、日本名も憶えておくと便利だよ、ってことで。


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6月5日(金)から9日(火)まで、東京ミネラルフェアがおこなわれます。
場所は新宿第一生命ビル1Fスペースセブンです。
入場料1000円が玉にキズ。

6月6日(土)にはミネラルマーケット2009がおこなわれます。
業者中心のミネラルフェアと違いコレクター向けの展示即売会です。
国産鉱物中心というところが魅力的。
場所は東京、飯田橋レインボービル1Fです。
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第50回 今年の採取は・・・

2009年4月 1日

     大変です! 大変です! 大変なことが起こってしまいました。
カミさんが歩けなくなってしまったのです。

医者に見せたところ右ヒザの靱帯にキズがついているってことでした。
原因はヒザの使いすぎ。急な斜面を登ったり、採集のため無理な姿勢で長時間ふんばっていたことがヒザに負担をかけていたのだそうだ。
急斜面を登るなんてもってのほかと先生にいわれた。当分の間は動いてはならないんだそうです。

そういわれたとき、カミさん泣いちゃいましたよ。
だって、虫もいない、植物も育ってなく歩きやすいもっとも鉱物採集に適した季節を家でおとなしくしてなきゃならないんだから。

ところがカミさんはたくましかった。家に帰ってひと言。

「急斜面に行かなきゃいいんでしょ」

おおっ! いいのか?! それで。
たくましいのとはちょっと違うかもしれない。
しかしまあ、カミさんの気持ちを尊重しよう。
  
とすると、坂道のない、急斜面のない、さらにいうならほとんど歩かなくてもたどり着ける産地はあるのか。

そういう産地、実はいっぱいあるんです。
ほら、私たちってもともとナマクラモノだから、そういう産地にはとても詳しいんですよ。
いつも行っている岐阜県中津川市のトパーズ産地なんか徒歩1分だし、同じく南洋美人と呼ばれている煙ファントム水晶の産地も徒歩1分だ。

それらいくつかの産地の中で、一番楽そうな産地というと石川県小松市。ここは家からも近いし、なんといっても紫水晶の産地ということが重要。

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これは昨年この産地で採集した紫水晶のクラスター。私たちの中では2008年度ナンバーワンの紫水晶。
大きさは手のひらサイズだけど、この産地の特徴をすべて持っている。

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ほ、ほこりがついてますけど、見えないことにしてください!
フツー水晶といえば断面が六角形なのだけど、ここの水晶は三角形に見える。柱面が一面おきにむやみに小さくなっているなっているためにそう見えるだけで、目を凝らしてみるといびつな六角形であることがわかる。パワーストーン的にはかなりレアなはずだよ。
こんなのが多いんだ、ここは。

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続いてこれ。
いちおう……、セプター……かな?
キュッと首がしまって、その上にちょこっとタマネギみたいな頭がのっている。どちらかというとネギボウズだ。
この形もこの産地以外では見たことないなあ。


そしてこれ。
これはよくあるタイプなのかもしれないけど、ハリネズミみたいでカワイイじゃないですか。

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ふたたび全体像。

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すべてが一様に紫というわけではない。無色透明の中に紫がにじむように入っている。この入り方が日本産紫水晶の特徴なのかもしれない。
これらがひとつの母岩の上で風景を作り出している。私にはまるで日本庭園のように見えるんだけど、みなさんはどう?
 
今年はカミさんの故障もあって、あちこちの産地にはそうそう行けないかもしれない。その分、小松に通ってこの紫水晶を越えるものを見つけたいなって思ってます。

これから梅雨まで鉱物採集をするのには本当にベストな季節です。自らの手で石を見つけることに興味のある人、軽い気持ちでかまいません。ちょこっとフィールドに出かけてみるのはいかがでしょうか。

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新年度になって新生活が始まりましたね。
新入生のみなさん。新社会人のみなさん。ご入学ご就職、おめでとうございます。これからの生活がみなさんにとって幸多いものとなりますようお祈り申し上げます。
 

【第49回】プレナイト

2009年3月 1日

3月よりこのコラムもリニューアル。月1回の更新になりました。

 

月1回ですから、これまで以上に密度を濃くしていかないといけないな。まだ紹介していない石もたくさんあるし、一度紹介した石はさらに掘り下げていく所存であります。
みなさま、これからも「地球のかけら」をご贔屓のほどよろしくお願い申し上げます。

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画像はウィキペディアより

さて、新しくなった地球のかけら第一弾として、カミさんがプレナイト(葡萄石:ぶどういし)について書けという。

プレナイト……。ぶどういし……。

ぶどう石というと私は数年前に一度だけ見たことがあるだけなんだ実は。
一度だけというと、「なんじゃそりゃ」という人が多いと思うが、それはあくまでも日本国内で採集されたぶどう石を一度だけ見たことがあるということだから。

それはヒスイが打ち上げられる地元富山県の宮崎海岸でのこと。ヒスイと同じように打ち上げられていたぶどう石を、拾った人に見せてもらったのだ。

こぶしほどもあるマスカットグリーンのそれを最初に見たとき、私はまるで上質のヒスイかと思った。
その人もそうだったらしく、大急ぎでフォッサマグナミュージアムに持っていき自慢したところ、学芸員の先生に「ヒスイではなくぶどう石」といわれガッカリ。
そのあんまりなガッカリ具合に「こんなに大きなぶどう石がここで見つかるなんてヒスイよりもめずらしい」と学芸員に怒られたそうだ。 

それで、まあそんなにめずらしい物ならと今でも持っているということだった。

仕方ないんだよねえ。べつに批判するわけじゃないんだけれど、ヒスイを探している人ってヒスイ以外はすべてクズ石あつかいだから。

でもさ、ぶどう石を知っている人はヒスイと見間違えることなんてあるのかって不思議に思っているんじゃないかな。
なぜヒスイと見間違えたかというと、海岸に打ち上げられるまでの間に海中でもまれ、ぶどう石のあの特徴的な形がキレイサッパリなくなっていたからだ。もう、ツルツルのスベスベでしたよ。

そこでぶどう石の特徴的な形について。
英名プレナイト。この名前は発見者にちなんでつけられたものだけど、日本名の「ぶどう石」は見たままの形状を表したもの。

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 どうかな、写真でわかるかな。
 淡い緑の丸いものがポコポコたくさんついているのがわかるでしょう。

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画像はウィキペディアより

 これはどうかな。葡萄の房のように見えるところから「ぶどう石」となった。

 下の写真は一粒って感じ。
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画像はウィキペディアより

でもこの一粒が1個の結晶ってわけじゃない。小さな細かい結晶がぎゅっと固まっている。正確には四角い板状の結晶が放射状に集まることによってこの形になっている。
もちろん単結晶もあるんだけど、数ミリ程度だと沸石(ふっせき:ゼオライト)と区別がつかないし、数センチになると魚眼石(ぎょがんせき:アポフィライト)にそっくり。

ぶどう石って不思議だね。単結晶にはあまり特徴がなくて細かい結晶が集合して初めて特徴的な形になる。こんな石は他にない。ぶどう石はこのポコポコした形になって、初めてぶどう石になるのだ。


ところで、最初に思った人もいると思うけど、ぶどう石って日本でも産出するってことなんですよ。
その中でも日本産の鉱物を紹介した図鑑に必ず載っているぶどう石の産地がある。それは島根県松江市の美保関というところ。ずいぶん立派なぶどう石が紹介されている。
松江市の日本海側だから、いつか機会を作って必ず行ってみたいと思ってます。

富山県から新潟県にかけてのヒスイ産地も、ヒスイだけでなくぶどう石はじめコランダム(ルビー・サファイア)やその他めずらしい石をたくさん見つけることができる。
これからの季節、ヒスイ探しに行ってみようかなって思っている人もいるかもしれないね。
ヒスイ探しに行ったら、ヒスイだけじゃなく「おや?」っと思った石はすべて採集して必ずフォッサマグナミュージアムで鑑定してもらわなければならない。
遠慮して2・3個だけっていうのはダメですからね。100個くらい持っていっても5分もかからずに鑑定してくれるから。

こんなに多くの石を産出する日本ってやっぱりスゴイなー。

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カミさんのひと言
ぶどう石ってマスカットだけど、巨峰のぶどう石があったらいいのにって思ってます。

 

 


 

【第48回】ものすごく危険そうなんだけど、もしかしたら身体にいいかもしれない石

2009年2月15日

鉱物趣味も深入りしてくると、人の持っていないちょっと変な石を欲しがり始める傾向があるようだ。
うちのカミさんなんかもすでに片足をつっこんでいて、結晶でもない透明でもない、単なる岩石を見てウットリしている。

・キュリー石
・モナズ石
・ユークセン石
・コルンブ石
・隣灰ウラン鉱
・北投石
・ゼノタイム
・阿武隈石

って、これらの石、聞いたことあります?
「ははーん」って思った人、かなり深入りしています、要注意。

というわけで、これらをひと言でいうならこれ。

放射性鉱物(ほうしゃせいこうぶつ)

ウランとかラジウムとかラドンとか、そういういかにも被爆しそうな危険そうな元素を成分として含んでいる鉱物。

上記以外にも種類としてはたくさんあって、それらの中でウチには北投石(ほくとうせき)とコルンブ石がある。

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北投石。

石友からいただいたもの。
ラジウムを多く含んでいるこの石は、台湾の北投温泉で発見されたことからこの名前がついた。
その後、秋田県の玉川温泉でも発見されたが、なんと世界でその2か所でしか確認されていない。
「なんだこれ」という外観とは裏腹に、買おうと思ったら1円玉くらいの大きさで何万円もしてしまう。
半端ないくらいレアなんだけれど、美しさがねー、ないんだよねー。

 

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真っ黒い石がコルンブ石。
上の写真はベリルが母岩。茨城県で採集したもの。
 母岩のベリルがコルンブ石の放射線の影響を受けて黄色くなっているのかな? わからないけど。
何万年も一緒にいるんだから影響を受けてても当然ではある。

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ところでガイガーカウンターって知ってます? 放射線の量を計るときに用いる計測器。放射線を感知するとガリガリいうやつ。
北投石もコルンブ石もちゃんとガリガリいうんですよ。


さて、ここまでお気楽に書いてきたけれど、放射線といえばかなり危険な印象がある。
放射能の方が危険だと思っている人も多いみたいだけど、「放射線を出す能力を持った物質」のことを放射能と呼んでいるんで基本的には同じもの。

その中でもウランはいわずと知れた原子力発電所の燃料。原爆の原料になる元素。
ラジウムも100年ちょっと前にその研究過程において被爆し、命を落としたというキュリー夫人の話を誰もが一度は聞いたことがあるだろう。
 
しかし、初めに名前を書いたような放射性鉱物となると、カミさんがいうには危険性はないそうだ。

その理由がこれだ。

「ラジウム温泉とかラドン温泉って入ったことあるでしょ」

おお、なるほど。


確かにそれらは健康にいいような感じがする。っていうか思っている。
でもなぜだ。一方では命に関わることなのに、もう一方で健康にいいかもとは。

気になったので調べてみたところ、「ホルミシス効果」というものがあるらしい。
「大量だと害があるが、少量ならば人体に好影響をおよぼす」というもの。
「毒とクスリの差は服用する量の違いだけ」という言葉を聞いたことがあるが、まさしくそれなのだな。
放射線の量も、肌身離さず持っていさえしなければ国が定めている許容量よりも低い。

ピッタリ肌にくっつけ続けていた場合、北投石などは数か月で許容量を超える可能性があるので注意です。
でもホラ、煙がモクモク出ている温泉でお客さんがみんな岩盤浴をしている映像をテレビとかで見たことありませんか。
そこが北投石の産地。秋田県の玉川温泉。みなさん北投石の上で岩盤浴をしているんです。
放射線の程度としては、そのくらいです。

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画像はウィキペディアより


自然界にはもともと空気中の放射線、地中からの放射線、そして宇宙から来る放射線があって、それは何億年も地球の生態系に影響を与え続けている。
植物、動物そして人間の進化になくてはならなかった放射線に注目するのも興味深いと思う。 
そして、それを身近に感じさせてくれる放射性鉱物は重要な存在なのかも知れない。

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ウチから飛騨高山に行く途中、ニュートリノ温泉っていう温泉があったんだよね。
ニュートリノって宇宙から来る放射線のひとつ。
何年か前にノーベル賞を取った小柴博士がニュートリノを研究していた。その研究施設がカミオカンデっていって、すぐ近くにある。

だからニュートリノ温泉なんだと思うんだけど、残念ながら今は流れ葉温泉に名称変更してしまった。
名前が好きだったんだよなあ。なんでニュートリノ温泉やめたかなあ。抗議でもあったのかなあ。ホントに残念だ。
 

【第47回】スピネル

2009年2月 1日

やっちゃいました。かかっちゃいましたよインフルエンザ。先週の1週間、辛かったあ。体中が痛くて寝ていることすらできない状態。

さらにカミさんまでぶっ倒れちゃったもんだから、まるまる1週間、我が家のすべての機能が停止しました。
んー、インフルエンザにかかった最大の理由は「自分はかかるわけがない」と思い込んでいたことかな。それが最大の敗因で間違いない。
受験を控えている人はとくにですけど、体調管理には十分気をつけてくださいね。

ところでインフルエンザにかかる前、今回はスピネル(尖晶石:せんしょうせき)について書こうってカミさんと話してたんですよ。

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(画像はウィキペディアより)

病気になったりケガをしたりしないようにするため、昔からお守りとして重宝されていたといえば赤い石。
ルビーは当たり前すぎるから、石好きとしてはやっぱりスピネルだよね。赤い石でインフルエンザなんかぶっ飛ばせ! って感じで。
それなのに自分たちが寝込んじゃったんだから、なんだかなーな感じだね。
まあ、自分たちのことはおいといて、あらためてスピネルについていってみましょ。


で、スピネルっていまだに「ルビーの代用品」とか「大いなる詐欺石」って書いてあったりするのを見かけるんですけど、もういいかげんそういう紹介のしかたてやめるべきじゃないかと思うんだ。

イギリス王室のティムールルビーと黒大使のルビーが実はスピネルだったって話は、石に興味を持ち始めた人にスピネルを紹介するときのきわめて有効な話ではある。でも、それだけなんだよね。

ところで、1000年も2000年も昔って、赤い石っていうとルビーのひとつしかなかったんですよ。
昔は色以外に石の種類を区別する基準なんてなかったんだから、それはしかたがない。

たぶん違う種類なんだろうなってことはわかっていたけど、トルマリンもガーネットもスピネルもその昔は十把一絡げですべてルビーと呼んでいたんです。

その中から成分の違いとか色合いの違いとかで、ガーネットが別れトルマリンが別れ、徐々に名前がついていった次第。

しかし、スピネルはあまりにもルビーに似ていた。


ルビー  Al2O3   硬度 9  
スピネル MgAl2O4 硬度 8

上記はルビーとスピネルの成分だけど、スピネルはマグネシウムが余計に入っているだけ。
産出はどちらも同じところから。ルビーの出るところはスピネルも同時に出る。

硬度も9と8で宝石の基準となる7よりも硬い。ルビーって「すごく硬い」のと「ちょっと硬い」のの2種類あるねっていう認識でしかなかったんだと思う。

しかし、9と8の差は大きい。どちらがより加工しやすいかというと当然8の方。


王様に献上する大粒のルビーを加工するとき、より加工しやすい方を選んでいたことは想像に難くない。
あくまでも私の想像だけど、由緒正しいルビーが実はスピネルだったというのは実は自然なことだったんじゃないだろうか。


スピネルの本来の色は無色透明。

多くは赤。ついで青。
コバルトで青くなったもののなかには、青からピンクへとカラーチェンジするものもあって、それはかなりレアだ。
また、スターやキャッツアイを示すものもある。
 

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 (画像はウィキペディアより)

スピネルファンになると、どうしてもレアな色を探したくなる人が多いんだけど、
けっこうだまされることが多いから気をつけなければいけないよ。

注意点として、スピネルにはもともと黄色とか黄緑とか青緑はない。


ないっていうと正確じゃなくなるから、めったにないってことにしておくんだけど、
たまにその色のスピネルが売られていたりするんですよ。カットされてルースになって。
それらって、ほとんどの場合クリソベリルだったりトルマリンだったり、合成スピネルだったりしてる。

カットされているというところがミソ。
だってカットされたら、石の区別がつかなくなるじゃないですか。
私たち一般人は結晶の形と色合いで石の種類を認識する場合がほとんどなんだけど、まずカットされたらそれがわからない。

さらにレアな色ってことになると、初めから色での判断もできないことになる。

そしたら、売り手のいうことを信じるしかない。
日本のお店はあまり心配いらないんだけど、ミネラルショーあたりに来ている外国人のショップは注意するべきだと思うよ。
レアなスピネルは原石で確認しないと、ちょっと手を出せないね。

スピネルの原石は基本的に正八面体。ピラミッドを上下にくっつけたような形をしている。
ダイヤモンドや蛍石と同じ結晶の種類。
 

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この機会にしっかり憶えておいてくれると嬉しいな。 


ルビーの結晶はこれ。

47rubi.jpg

 

基本は六角柱状。

写真はその断面。スピネルとルビーの見た目の違いはこの形しかないね。

18世紀になってようやくスピネルが化学的に独立した鉱物となったとき、宝石はすでに貴族王族階級に浸透しすぎていた。
18世紀というと300年近く前。十分昔という気はするけれど、宝石の歴史として見るとかなり最近のこと。
スピネルがルビーと別種の石として分類されたのが歴史的に遅すぎた。
トルマリンやガーネットみたいにもっと早く分けられていたら、「大いなる詐欺石」なんて呼ばれることもなかったのに。
すべては人間の科学力が追いついていなかっただけのこと。

【第46回】ジルコンとキュービックジルコニア

2009年1月15日
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(画像はウィキペディアより)

キレイなお花の写真で和んでいただきました。

このお花、風信子(ふうしんし)です。
風信子っていわれてもよくわかんないです。
恥ずかしながら、私、教えてもらうまで知りませんでした。
ヒヤシンスのことなんですね。ヒヤシンスの日本名が風信子。


変な名前。カワイイけど。 


なんでこういう字を当てたんでしょうか。風を「ヒヤ」と読めとでも……。

って、そんなことはおいといて、このヒヤシンスを名前に持つ石、ジルコン(風信子石:ふうしんしせき)が今回のテーマです。


ジルコンっていうと、合成石のキュービックジルコニアが有名なんで、しばらく私自身ジルコンっていうのはキュービックジルコニアの愛称で、最初から合成石なんだと思ってました。


もちろん、それは大間違いでジルコンは立派な天然石でキュービックジルコニアとはまったくの別物だってこと、今はちゃんと知ってますからね。

今回はジルコンとキュービックジルコニアの違いをハッキリさせてみたいと思います。



○ジルコン

愛称でも何でもなく、れっきとした鉱物名。
もちろん天然石。

ジルコニウム(Zr)を主成分とした珪素(Si)と酸素(O)の化合物。
化学式は「ZrSiO4」。

最近、鉱物系の本もよく出ているので、ちょっとそれっぽくいうと、ジルコニウムの珪酸塩鉱物ということになる。

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(画像はウィキペディアより)

ジルコンは大きく「ハイタイプ」と「ロータイプ」に分けられる。


宝石として加工されるのはハイタイプのほう。色は基本的に茶っぽいオレンジから赤っぽい色。
加熱処理をして透明や青などを作っている。

宝石になったジルコンって今はほとんど見ないけど、カミさんの父上と母上が結婚したとき、その婚約指輪とお返しのネクタイピンがブルージルコンだったんです。もちろん今もあります。
一方、結晶内に放射性物質を多く含んでいるものをロータイプといい、その放射性物質が核分裂する際に放出するエネルギーによって結晶が傷つけられ、何万年もかけてボロボロになっていく。


私たちが一般的に目にするジルコンは、すべてハイタイプ。ロータイプは緑色をしているから、もし緑のジルコンがあったらそれかもしれないよ。




○キュービックジルコニア

日本語で立方晶ジルコニア(りっぽうしょうジルコニア)。
工業用に合成された二酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO2)にイットリウムやマグネシウムを混ぜて結晶化させたもの。典型的な合成石。

屈折率はダイヤモンドに匹敵し、8.5という硬度も宝石として申し分ない。
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(画像はウィキペディアより)

どうですか、写真だけだとダイヤモンドと区別できないでしょう。
上質なものは専門家の目をもあざむいてしまうくらい。
こんなにキレイな石がテレビショッピングだと1カラット1万円以下なんだから、合成とはいえお得感がある。


重さ的に、約1.7倍キュービックジルコニアの方が重いけど、違いはそのくらいだけ。ちゃんと検査をしないかぎり外観での区別は難しい。



というわけで、ジルコンとキュービックジルコニアはジルコニウムを主成分としていることが共通しているだけの、まったくの別物だということです。



過去の私のようにこの2つを同じものだと思っている人がたくさんいるって聞きました。
もし近くにそういう人がいたら、しっかり訂正してあげてくださいね。そうでないと、ジルコンが不憫です。


ところで、ジルコンは天然石だから、もちろん採集もできます。日本でも採集できるし私たちも採集して持っている。

一番お手軽に採集できるのは奈良県某市かな。
小川の砂の中にジルコンが混じっている。

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※ 茶色っぽいオレンジの石がジルコン。
その他 青:サファイア、ピンク:ルビー、赤:ガーネット、etc……。


 川底の砂の中に宝石が混じっている。まさに宝石の砂。
ただし、一粒1ミリ。大きくても2ミリほどしかない。ホントに砂。写真だって顕微鏡写真(笑)。


そういえば、キュービックジルコニアはなぜ「キュービック」っていうんだろうって思ったりします。
合成ルビーとか合成エメラルドのように、人工的に作られているんだから「合成ジルコニア」と呼ぶのが妥当なんじゃないかなって。

たぶん、ジルコニア自体が合成で天然に存在していないからじゃないだろうか。元々が合成なんだから「合成合成ジルコニア」って変だし。

でも、合成だと知らなかったら「キュービックジルコニア」という天然石だと思っちゃいそうだから、やっぱりまぎらわしいってことだよなあ。


おまけ ------------------------------------------------------
18世紀、すでに赤っぽいジルコンをヒヤシンスと呼んでいましたけど、1000年以上前、ヒヤシンスといえば現在のサファイアのことでした。
じゃあ当時サファイアと呼ばれていたものはなんだったのかというと、ラピス・ラズリです。
で、ジルコンは?
んー、まだ見つかっていなかったんじゃないのかな。 

【第45回】初日の出のような輝き。ルチル・イン・クォーツ

2009年1月 1日

あけましておめでとうございます。


平成21年、丑年。

本年もみなさまのご健康とご健勝をお祈り申し上げます。
さて、お正月にふさわしい石ということで、昨年は勾玉(まがたま)を紹介しました。

勾玉は日本の古代から伝わる由緒正しい石の形。

勾玉は日本という国がある限り永久にお正月にふさわしい石。いや、お正月どころか日本を象徴する日本人の心の石といった方がよりふさわしいのです。

というわけで、あらためてお正月と訊かれて想像することを考えてみた。

初日の出


どうだ!

大勢の人が初日の出を見るために、山の頂上に登ったり、寒い中徹夜して日の出をまっている。そして、パンパンと柏手を打ち一年の幸福を祈願する。初日の出は一年の象徴だ。


そして日の出とくれば、私は「ルチル・イン・クオーツ」を真っ先に思い浮かべる。
さーっと光が射し暗闇の大地を照らしていく。ルチルはまるでその光のようだ。
 

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透明な水晶の中に黄金色の針が無数に入っている。その黄金色のルチルがそのまま太陽の光の矢のごとく輝いているように見えるでしょう。

ルチル(金紅石:きんこうせき)
その名の通り黄金色に輝く結晶。


「紅」はどこいった? っていう声も聞こえてきそうだけど、ルチルの大きな結晶は赤っぽい色をしている。
たぶん、本来の色は赤なんだろう。黄金に見えるのはあくまでも反射光。ルチルの小さな結晶は結晶面が非常になめらかだから、反射光で本来の色がかき消されているんだと思う。 

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そして、そのルチル・イン・クオーツの中にもろ太陽を象徴するものがある。
その名も「太陽ルチル」。


ホントはもっと大きな声で、ドーンと叫びたいところなんだけど、私はそれを持っていない。
だからちょっと小さな声で、しかし力強く叫びたいと思う。

太陽ルチルは「ルチル・イン・クオーツ」の中でとくにすばらしい!!
水晶の中に黒い芯があり、そこから6方向の放射状にルチルが伸びている。それはもう「太陽の光の矢」が入っているどころではない。太陽そのものが入っているのと同じだ。

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写真は太陽ルチルの中身。これが水晶の中に入っている。
黒い部分は一般的にヘマタイト(赤鉄鉱:せきてっこう)といわれている。
ルチルは双晶になりやすい性質を持っていて、このヘマタイトを母岩としてルチルが60°の角度で次々と双晶を繰り返していく。その結果が太陽だ。


ところで余談ですけど、この双晶の形の「*」型。けっこうよく見かける形なんです。とくに宝石店で。
スタールビーとかスターサファイアのあのスターがまさにこの形。中に入っている針状のインクルージョン(内包物)がスターの原因。

じゃあ、そのインクルージョンって何って訊かれると、ルチルなんですよ。宝石としてはルチルって出てこないけど、実はルチルがいないと成立しない宝石もあるってことかな。

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でも、太陽ルチルのサファイアとかルビーっていうのはないなあ。


あらためてルチル・イン・クオーツの太陽ルチル。しつこいですけど私は持っていません。
なぜ持っていないか。

それは、値段が高いから。

ブレスレットだと20万円ほどもする。

いい物になると、ビーズ1個が4万円だったりしている。
でも欲しい! 小さくていいから1個は持っていたい。いつか必ず手に入れようと思っている。


そうだ、今年の目標はこれにしよう。

そしたら、毎朝、初日の出だ。

毎日が正月になる。

朝から酒飲んで……、ゴロゴロして……。
あ、ダメだ。すでに正月ボケしてる。

 

【第44回】十字架そっくりの石

2008年12月16日

クリスマスだねー。家のまわりでは電飾で光っている家が増え、さらにスキー場の照明もついた。
スキー場のそれはまさに夜空に浮かぶ電飾。天も地もこの季節はホントにキレイだ。

でもね、忘れてほしくないんだけど、12月25日は……。

ぉぅぉぅぉぅ。ネロとパトラッシュの……、ぉぅぉぅぉぅ。
ああこれ以上書けない。書くと本当に泣いてしまいそうだ。


ああ、すみません。個人的な思いはおいといて、クリスマスっていうか
キリスト教でもっとも有名なシンボルは何をおいても十字架なわけなんですけど、
この十字架にそっくりな、ていうか、まるでそのままの石があることをご存じですか。


名前もそのまま十字石(じゅうじいし)。
 

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(画像はウィキペディアより)

それで今回、この石のことを書こうと思って、何冊かの本やインターネットを見てみた。
とくにインターネットはたくさんヒットする。これだけでも人気の高さがわかるというもの。

ところが何か変なのだ。


何が変かというと、例えば「丸く研磨すると十字がとてもカワイイ十字石」とか、「鉱物的には紅柱石の変種が十字石である」と書かれている。
これは私の知っている十字石のことではない。

紅柱石と十字石は何のつながりもないし、そもそも十字架を丸くしたら、その時点で十字架じゃないだろう。
どうやら2種類のまったく別物である石を、ひとつの同じ石として混同しているようなのだ。 
もう気づいている人もいると思うが、これはキャストライト(空晶石:くうしょうせき)とスタウロライト(十字石)が混同されているのだ。

キャストライトはこの石。

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(画像はウィキペディアより)

石の中に十字の模様が入っている。これならばビーズにしたとき十字がとても可愛いらしく見えるだろう。
そして、アンダルサイト(紅柱石:こうちゅうせき)の変種であることも事実だ。

というわけで、あらためて今回はキャストライトとスタウロライトについて。

まずはキャストライト。

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(画像はウィキペディアより)

この石は基本的にはアンダルサイトと化学的な違いは一切ない。

アンダルサイトは日本名(紅柱石)のとおり、四角柱をした細長い結晶で淡い紅色をしている。
ところが、まれに白い結晶のものがあって、それを輪切りにすると中に十字の模様が入っている。それをアンダルサイトの変種としてキャストライトと呼んでいる。


この十字の模様は石墨などの内包物が集中したもので、なぜそこに集中するのかっていうと、それはまだよくわかっていない。


また、キャストライトはカイヤナイト(藍晶石:らんしょうせき)とも関係が深い。
アンダルサイトとキャストライトは前述のとおり同じ鉱物なのだけれど、実はカイヤナイトとも化学的成分がまったく同じ同質異像(どうしついぞう)の鉱物なのだ。


※同質異像:例えばカルサイト(方解石:ほうかいせき)とアラゴナイト(霰石:あられいし)と鍾乳石は化学的成分がまったく同じ同質異像の鉱物である。

つづいて、スタウロライト。
 

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英名:スタウロライト、日本名:十字石は、鉱物的に何かの変種であったり何かと同質異像の関係にあるということは一切ない。まったく単独の鉱物。2つの結晶が60°または90°で双晶になっている。


十字石というくらいだから90°がダントツ人気。
中には60°で3つの結晶が双晶している「*」型もある。
一番多いのは60°の「x」型。ウチにもこの「x」型がある。


(写真はウチにある「x」型)
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この石は雲母の中にできることが多く、その雲母が風化して崩れやすいことから土の中からゴロンとこの十字架が出てくる。ヨーロッパで最初に発見した人はビックリしただろうな。

当然のことながらヨーロッパでは古くからお守りとしてこの石を持ち歩いていた。


しかし、この石には劈開(へきかい)という一方向に力を加えると簡単に割れてしまう性質がある。
何かの拍子にポキッと折れてしまったら、さぞショックを受けたことだろう。


十字石といえば鉱物的にもパワーストーン的にもこのスタウロライトのことを指すので、
そこは明確に区別しなければならない。
ところで、この十字石、私が住んでいる富山県でも産出するんだ。


今は合併して黒部市になった旧宇奈月(うなづき)町がそこ。
そこに流れる黒部川の河原に十字石を含んだ巨大な石が転がっている。


調べてみると、深い山の中ってわけじゃなく、かなり下流の方らしいってことで探しに行ったんだけど、どうにもピンポイントな位置がわからなくて、いまだに採集できていない。 



というわけで、この2つの石、模様が十字か形が十字かの違いなのだけれど、どちらもそれぞれに魅力的な石。


クリスマスのイベントの中にこれらの石を含めると、より雰囲気が高まるんじゃないかな。 
ネロもきっとルーベンスの絵の中に十字を見ていたに違いない。
ぅぅおうおうおううううー。

 

 

【第43回】世界3大ヒーリング(パワー)ストーンといわれる石

2008年12月 1日

チャロアイトとスギライト。

スギライトwiki

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この2つの石はラリマーとセットで「世界3大ヒーリング(パワー)ストーン」っていわれている。

以前にラリマーはやったから、残りの2つってことかな。
昨日の夜、そんなことを考えながら布団に入ってたら眠れなくなっちゃってさ、明け方くらいまで
「出だしはどうしようか」「どんな内容にようかな」なんて考えてた。

それなのに朝起きたらなんにも憶えてないの。
チャロ、チャロ……。あれ?  って。
「うまくまとまったな」っていう感覚しか残ってなくて、なんだかホントにもう。
というわけで、最初から考えなおし。

チャロ、チャロ……。スギ、スギ……。


どちらも紫色してる。
チャロはマーブル模様の紫色。ちょっとラメが入ったようなガラス光沢がある。
キャンディでそっくりなのがあるよね。
チャロの結晶はあるにはあるけど、あってもものすごく小さい。基本は塊。
トルコ石やラピスのような感じに思ってもらえたらいいかも。

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(画像はウィキペディアより)

ちょっといい話だよね。でも、新鉱物って自分で自分の名前をつけることが認められていない(発見場所の地名や、すでに亡くなっている人物にちなんだもが認められる)。
もし、杉博士自身が発表していたらスギライトという名前にはならなかったと思う。


そんなスギライト、紫色の印象が強いけど、最初に発見されたのは淡い緑色だった。
緑色というよりは「うぐいす色」と表現されることが多いな。
その後、南アフリカで紫の石が大量に発見され、それがスギライトであることがわかった。

紫の原因は微量に含まれるマンガンの影響らしいんだけれど、
マンガンはロードナイトやインカローズのような赤が基本色。


緑に赤を混ぜると紫になるんだろうか。


この石も基本は塊。結晶はごくごく小さいものしかない。


スギライトは初めアメリカで人気が出たんだけど、そのときなぜか名称をス「ジ」ライトと間違えて広まったらしく、日本に入ってきたときしばらくそれがスギライトだと誰も気づかなかったそうだ。

さて最後に、なぜこれらが「世界3大ヒーリング(パワー)ストーン」って
呼ばれるようになったのかって話。
たぶん理由はないと思う。でも、何もないのに「世界3大」なんて呼ばれ方をされるようになるはずはない。


そう思って考えてみると、いくつかの共通項が見つかった。
そこに理由が隠されているんじゃないだろうか。その共通項とは。

まず、それぞれの石が発見された年。
(発見されたというよりも「新鉱物として発表された年」といった方が正確)
チャロアイト 1978年
スギライト  1977年
ラリマー   1974年


次に産地。


チャロアイト ロシア
スギライト  南アフリカ
ラリマー   ドミニカ


一見ぜんぜん関連がないように見えるけど、実は大きく似ているところがある。

それは大量に産出する産地がそれぞれ1か所しかないってこと。


簡単にいい換えると、希少価値が高いってことだ。

しかも、人気が高いために乱掘するもんだから、すでに底が見え始めているらしい。枯渇は時間の問題といわれている。


そしてもうひとつ。


どの石もアメリカで人気が出たということ。
どうかな、だいぶ理由が見えてきたんじゃないかな。


あくまでも私の考えなのだけど、これら3つの石は古くからあるパワーストーンに比べてあまりにも新しく歴史がない。しかし、歴史がないということは無垢な存在だということなのだ。
つまり、現在まだ知られていない何かを持っている可能性が大いにある。そんな石はこの3つ以外にない。

それに気づいたアメリカ人のヒーラーが「(注目するべき)世界3大」と呼び、それが広まったんじゃないのだろうか。きっとそうにちがいない。
忘れないで欲しい。チャロアイト、スギライト、そしてラリマーはこれから私たちが歴史を作る石なのだ。

 

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