トップページ > 地球のかけら

地球のかけら

【第67回】夏休みの採集

2010年8月28日

8月が終わってしまいました。

8月が終わると夏が終わる感じがして少しさみしいです。
もちろん普段働いている人からすれば、暑いだけの8月なんて、とっとと終わって
早く涼しくなってくれという気持ちなのですが、それでも切なさを感じるのは
幼い頃より刷り込まれてきた夏休みの記憶のせいなのでしょうか。


さて、この夏はカミさんのヒザが治ったこともあって、行ってきました鉱物採集。

お盆に富山県へ里帰りするついでに3か所まわってきました。
ひとつは長野県長和町のガーネット。あとの2か所は岐阜県中津川市の水晶とトパーズ。
って、けっきょくいつも行っているところなんですけどね。
 

でもですね。夏に行ける産地って意外と限られるんですよ。


なぜかというと場所によってはアブの攻撃がハンパないからなんです。
その点、この3か所の産地はなぜかアブがいない。
安心して採集できる数少ない産地のうちのひとつなのです。

しかも今回は今までにない収穫がありました。
どの産地でも十分満足できる石を見つけることができたのです。


まず最初に行ったのは長野県。諏訪湖からほど近い長和町のとある峠。
この産地は採集禁止になっているところがほとんどなのだけれど、
たまたま運良く地主の方と知り合いになり厚意で採集させてもらっている。

ここで採れるガーネットはマンガンとアルミニウムを主成分とした
スペサルティン(満礬石榴石:まんばんざくろいし)。

第23回ガーネット2でも少し紹介している真っ黒いガーネット。

本来ならばオレンジ色のキレイな発色をするスペサルティンなんだけれど、
ここのは発色原因のマンガンが多すぎて赤を通り越して真っ黒になってしまっている。


ただ黒いだけならつまらないガーネットなんだけれど、ここのスペサルティンは
その黒さっぷりが見事な上、36面体のその結晶面がまるでカット研磨したかのように
シャープでなめらか。確実に見ている自分の顔が映り込んでしまうくらい。
それがここのスペサルティン最大の魅力だ。


いやー、ここの採集はつらかった。


標高1500メートルのこの場所はアブも蚊も何もいないかわりに水の冷たいこと。
歩幅くらいの小川の川底をシャベルですくいフルイがけして探すんだけど、
小川に手を入れることができない。ホンの数秒で手がズキズキ痛くなってくる。

それでもガンバってフルイがけをしていると、出ましたよ。今まで採った中で最高の逸品が。


実はここのスペサルティンは非常にキレイな結晶面とは裏腹に、
それがなぜか半分しかないものがほとんど。

うわー、キレイだなーっと思っても、裏返すと結晶面自体が崩れていてボロボロ。
それがここのスペサルティン最大の難点。

67s17a.jpg67s18a.jpg

私たちもこれまで写真のような半分だけのものしか見つけたことがなかった。

ところがついに出たんです、完全体が。
ほんのちょっとのキズはあるけれど、結晶面はほぼ完全に残っている。これなら完全体といっていいだろう。

67s09a.jpg67s15a.jpg

しかも大きさは9.5ミリもある。本当は10ミリの大台に乗ってほしかったけれど、
四捨五入で10ミリってことにしておこう。


翌日、岐阜県中津川市ちんの峠。
今までさんざん南洋美人とか煙水晶を採りに通ったところ。
このコラムでも何度も紹介しているから、またかって思われているかもしれないね。
でもこの産地、行けば必ず何かしらの成果があるから大好きなんだ。


この産地には3つのズリがある。

ズリとは簡単にいうと目的の鉱物がとれる場所のこと。
多くの場合、鉱山が稼働していたときに目的の鉱物を取り除いた残りの土砂でできている。
例えば銅鉱山なら銅鉱石以外は水晶だろうが何だろうが銅に関係ないということで、破棄されてしまう。
だからズリにはそのとき掘り出された鉱物がそのまま残されているのだ。

私たちはこれまでそのうちのひとつのズリでほとんど採集していたが、
今回は別のズリで探してみることにした。
ズリが変わると同じ産地でも水晶のタイプが違ってくるから不思議だ。

67c01a.jpg67c04a.jpg

写真は採集した水晶。
これまでガンバって採集していた南洋美人はひとつもない。

この産地は水がないからフルイがけができない。
片手で持てる小型のツルハシで表面をカリカリしているだけ。
それでもこれだけ見つかるのだから、この産地は何度行っても景気がいい。


そして今回の一番。

67c09a.jpg67c16a.jpg

ダブルポイント(両錐:りょうすい)。
なかなか大きい。
これだけ立派なダブルポイントはなかなか見つけられないと自分では満足しているんだ。
 

ちんの峠での採集は昼までで終了。その足でトパーズ採集に向かう。
トパーズを探すのはちんの峠の近くを流れる川。いつも行っている川とはちょっと別の川に行ってみた。
トパーズの探し方は長野県のスペサルティンと同じ。川底の砂をフルイがけするだけ。

しかし、ちょっと違うところがある。それは川のどこでもいいというわけではなく、
トパーズのたまるポイントがあるということ。
その場所を見つけられなければいくら探してもトパーズは1個も出てこない。

67t01a.jpg67t04a.jpg

そこで採れたトパーズ。
小さめだけれど、ぜんぶで279個。
これだけ採れれば文句ナシ。

というわけで、とっても充実したお盆休みだったのですが、その後の富山県はずっと雨。
あいかわらず鉱物採集の時だけはお天気運のいい私たちでした。

 

【第66回】水晶峠

2010年8月 1日

ついに、ついにカミさんの足が治った。
先日、友だちと横浜へ買い物に行ってかなり長距離を歩いたらしいんだけど、
ぜんぜんヒザが痛くならなかったそうだ。

だから治ったということらしい。

もちろん自己申告で本当は治っていない可能性もあるけれど、
本人が治ったといっているのだから治ったということにしておこう。

治ったのならば行かなければならない。そう、行こうではないか鉱物採集へ。


関東近郊で最も人気のある産地。

そこへ行きたい。
そしてひとつの産地に的を絞った。

その名前は「水晶峠」。

山梨県と長野県の県境近くの山梨県側。
金峰山(きんぷざん)登山道の途中に水晶峠がある。
この産地は前々からぜひ行ってみたいと思っていたところ。
多くの採集仲間がここで素晴らしい水晶をたくさん見つけている。

基本的には非常に透明度の高い無色の水晶が出るのだけれど、とても広い産地で場所によっては紫水晶や緑水晶、さらにはハート形をした日本式双晶も見つけることができる。

最も古くから知られている産地のひとつではあるけれど、ここが今、現在進行形で関東では最も人気がある。

人気があるということはその産地は「出る」ということだ。さらに「行きやすい」ということでもある。
たくさん出たら景気がいいじゃないか。
復活初採集にこれほどふさわしいところはない。

さて、行くと決めたならひとつ問題がある。
何が問題かというと、私たちはそこに初めて行くということだ。

初めての産地は探し方がわからず、手ぶらで帰るはめになることが多々ある。

さらにいうなら、道に迷ったりしてズリにたどり着けないことすらこれまでに何度も経験している。
ズリとは目的の石が埋まっているピンポイントの場所のこと。そこを外すと何メートル掘ろうが何も出てこない。
 
そこで私たちは石仲間のクーコさんに案内をたのむことにした。クーコさんは私たちと同年代。ご主人と一緒に何度も水晶峠に採集に行っている。

まだ大きな水晶は見つけていないそうだが、それは運だからそのうちきっと10センチ越えの大きな水晶も見つかるだろう。

そしてもう一人。

以前から鉱物採集に行ってみたいといっていたケローネ(カエルのぬいぐるみ)仲間の松坊(まつぼう:24歳女性)さんを誘い、男2名女3名総勢5名でのチャレンジとなった。


そうそう、人数が多いってとても重要なことなんです。

なぜなら、もしケガをした場合、助けてくれる人がいるということ。
山ではほんのちょっとしたことが遭難につながるから、大勢いるというだけで安心度は格段に増すのです。


早朝、音もなく、風はまだ冷たい。
梅雨が明けたばかりの山々には朝霞がかかり、顔を出す直前の太陽がそれらを青く照らし出していた。
眼前には深く広がる森。この森のどこかに眠る水晶と出会うために、私たちはまだ暗い森に足を踏み入れた。


という予定だったのだけれど、ちょっと寝坊してしまったため、到着したときすでに太陽は高く登りきってました。
風は熱風。早く森に入らなければ数分で熱中症にかかってしまいそうな陽気。
キレイに舗装された林道の駐車スペースにはすでに10台の車が並んでいて、みんなとっくの昔に森に入ったのだろう。私たち以外に人の気配はもうなかった。

さて、目的のズリまではここから1時間近く歩かなければならない。1時間というと私たちにはかなり遠い距離なのだが、そこは登山道、水晶だけにこだわらずのんびり景色を楽しみながら歩けば1時間なんてすぐに過ぎてしまうさ。

66_touge01.jpg
登山道に入ったところ。
小川が流れ、小鳥が鳴き、とても気持ちのいい森。
まだ見ぬ水晶に心をときめかせています。

ところが、気持ちよかったのはここまで。
小川を渡ったその直後。
突然道がなくなった。いや、なくなったわけではなかった。
遠く遥か下に続きの道が見えていた。

66_touge02.jpg

あれ? こんなはずじゃなかったんだけど……。

手をつきお尻をつき木の枝を掴み、なんとかその道まで降りた。
道はさらに険しくなり、左側は奥底が見えないくらい深い谷。
足元だけをしっかり見て歩くが道幅は足の幅しかない。
しかも急角度で下がりまた上がるを何度も繰り返した。

まるでジェットコースターのレールの上を徒歩で何周もしているような感じだ。
また小川の音が聞こえてきた。
さっきの川より川幅も水量も多い。 

水は鬼のように冷たく10秒もしないうちに手が痛くなる。水温はマイナス10℃くらいと推測した。

66_hashi01.jpg
この貧弱な橋を渡る。

66_hashi02.jpg

足元に白い石が散らばり始めた。

石英だ!

水晶は石英が結晶したもの。
ここがズリか!? 

「はーい、到着しましたー!」

クーコさんのご主人が叫ぶ。

斜面に顔を近づけてみると石英というよりも透明な水晶のカケラがたくさん落ちていた。
その中に小指の先ほどだけれど、しっかりポイントになっているものもある。
すごいぞ、この産地は。

66_touge05.jpg

表面というのは多くの人が探した後だからそうそう見つかるものじゃない。
それなのに顔を近づけただけで小さいながらも水晶が見つかるということは、
みんな小さな水晶には目もくれていないということにほかならない。

ということは、ちょっと掘れば大きな水晶が出る可能性が高いということだ。

見渡してみるとあちこちに大小の穴があいている。

さっそく採集開始としたいところだが、とりあえず、とりあえず休憩だ。
時計を見ると森に入ってから2時間が過ぎていた。

66_touge03.jpg

お昼を食べ、それぞれが思い思いの場所に散らばった。 
 
66_touge06.jpg

掘ると行ってもこの程度。
しかも、みんな誰かが掘ったその続きを掘っている。

出る。

小指ほどの大きさの水晶ならばいくらでも出てくる。

驚きなのは一緒に出てくるカケラの大きいこと。

カケラといっても水晶の一部というわけではない。先端部分が折れてなくなっているものはみなカケラなのだ。
そのカケラがどれもこれもみなきわめて透明で立派なのだ。
本来20センチくらいあったのではないかというものがとても多い。

しかし、水晶は頭(あたま:結晶の先端のこと)があってなんぼ。非常に惜しいがこれらは持って帰らない。

66_zuri01.jpg66_zuri02.jpg

探し初めて数時間が経った。そろそろ帰ることを考えなければ森の中で夜になってしまう。
そのとき、叫び声がした。

「うわあーっ」

クーコさんのご主人の声だ。

「あーっ!」

こんどはクーコさんの声。

「ひゃーっっ!!」

さらにカミさんの声がした。

「ちょっと来て! 早く来て!!」

というカミさんに呼ばれ、何事かとその場へ急いだ。

「どへーっっっ!」 これは私の声。

カミさんの手には余裕で10センチ以上ある水晶が何本も立ったクラスターがあった。

「クーコさんのご主人が見つけたの……」

「いや、その、あの木の切り株のところに落ちていた石をひっくり返したらそれだったんです」

ご主人は当然のことながらかなり興奮している。
ここの水晶は大きくなると白く濁ってくることが多いのだが、これは無色透明だ。
コレは間違いなくかなりの上物である。

しかも、見つけたのはこれ1個ではなかった。
もう少し小振りだが、同じパターンのクラスターを含め全部で5個もあった。

66_kuuko04.jpg

こんなスゴイ水晶をズリで見つけた人は他にいないんじゃないだろうか。
5個のうちの小さなものを松坊さんと私たちがそれぞれ1個ずつお裾分けにもらい。
私たちは山を下りることにした。

今回の私たちの収穫↓
66_01.jpg

見事なファントムが入っている。

66_02.jpg 66_03.jpg

そういえば、カミさんはヒザが痛いと一度もいわなかったな。
それにしても、車が10台も停まっていたのにほとんど誰にも会わなかった。


みんないったいどこで探しているのか。


駐車場所に戻ってきてようやく知り合いの石仲間に会った。
その人に聞くところによると、みんな本来のズリでは飽きたらず、
自分一人のズリを求めてさらに奥深くに入っているそうだ。

そうして新しいズリを見つけると、ガマンできずにみんなにしゃべってしまう。
するとそこにみんなが殺到し、また誰かが新しいズリを見つけるために奥に入って行く。
水晶峠はその繰り返しでどんどん広がっていく発展途上の産地だったのだ。

確かに地質図を見ればかなり広範囲に花崗岩が分布しており、
水晶がまだまだたくさん眠っていることは容易に想像できる。


だからといって、フツーは探してもそうそう見つかるものじゃない。
この産地は山も深いがズリもかなり奥深い。
そして人間の欲望も水晶峠の谷のように底が見えない。

66_touge07.jpg


 

【第65回】ペリドット

2010年7月 1日

ペリドット、新緑のそれは見る人の心を癒し、その緑に吸い込まれそうになってしまう。

65per1.jpg

写真はカミさんコレクションのペリドット。
細かい結晶の中にひとつ大きな結晶がドンと載っている。
だいたい2センチくらいの大きさなんだけれど、ペリドットの結晶は大きく育ちにくい。だからこのくらいの大きさでもけっこう希少らしい。

大きく育たない原因は火山が噴火して溶岩が急激に冷えて固まった中に含まれているからだそうで、とにかく急激に冷えると細かい結晶しか育たない。
だから基本的にペリドットの結晶はどれも細かい。たまにゆっくり固まった溶岩のなかにいたペリドットが大きく育つことがあるそうだ。
ミャンマー産のペリドットがそれで、比較的大きな結晶が多く産出する。しかしそれらはほとんど宝石用に取り引きされていて、なかなか鉱物として市場には出てこない。
 

ミネラルショーなんかに行ってもペリドットの結晶というと砂のような細かいものばかり。2センチ程度の結晶すらほとんど見たことがない。
大きな結晶を見つけたら、買い物リストに入れてもいいと思うよ。もちろん予算次第だけど。
ちなみにカミさんのペリドットは1200円。掘り出し物だったと大喜びでした。
(さらにちなみにアナヒータで買いました)

※ペリドットファンならぜひとも手に入れておきたいパラサイトという石がある。
第10回隕石のところで紹介しているから、そちらも見てね。

65p3_wiki.jpg※画像はウィキペディアより

さて、このペリドット、ペリドットという名前はあくまでも宝石名。
鉱物名はオリビン、和名は橄欖石(かんらんせき)。
オリビンというのはその色がオリーブの実に似ているからその名前がついた。
和名の橄欖もそういう名前の植物があって、その実がオリーブに似ていることから明治の学者さんがその名前をあてたそうだ。

ところが、そのオリビンという名前も直接ペリドットのことを指していない。
オリビンはオリビングループの総称で、その中に苦土橄欖石(くどかんらんせき:フォルステライト)、鉄橄欖石(てつかんらんせき:ファヤライト)などいくつかの種類がある。そのなかで苦土橄欖石だけをペリドットと呼んでいる。

色の原因としては、本来無色の苦土橄欖石に微量の鉄が混じることによって緑に発色している。
鉄の割合が増えるとどんどん色が濃くなり最終的には真っ黒になって鉄橄欖石になる。
色の濃い薄いは鉄の量の違いだね。

65p4_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより

ペリドットが最初に発見されたのは紀元前。
古代エジプトのファラオ、プトレマイオス1世のお妃様に献上されたという記録が残っているから、最低でも紀元前300年ごろには発見されていた。
場所は紅海に浮かぶセントジョーンズ島。
そこでちょっと注意なんだけど、そのセントジョーンズ島、過去にはトパゾン島と呼ばれており、トパーズが見つかった場所だと勘違いしている人がたまにいる。
まあ、確かにトパーズの語源なんだけれど、今現在その島に行ってもトパーズはひとつもなくペリドットがたくさんある。
要するに、過去においてペリドットはトパーズと呼ばれていたってこと。
でも、残念ながら現代のトパーズといつどのようにして名前が入れ替わったのかは不明。

ところで、知ってます?
ハワイにはペリドットでできた海岸があるんですよ。
その名もグリーンサンドビーチ。
ハワイ島のサウスポイントというところにある海岸で、一面ペリドットの砂に覆われた緑色の海岸。

65psn.jpg

どう?
8割方ペリドットって感じでしょ。
この砂でできた海岸に行ってみたいよねー。


緑色の石はたくさんあるけれどペリドットの緑はペリドットだけのもの。他に変わる石はない。
たとえエメラルドでもペリドットの代わりにはならないのです!

って、ちょっと大げさすぎですか?
すぎですよね。
さすがにエメラルドとペリドットを並べられたらエメラルドを選んじゃいますよね。

でも、ちょっとまってください。
エメラルドは宝石の女王と呼ばれ、その価値を知らない人はたぶん誰もいない。
誰もが高価だと知っている。だからエメラルドを選ぶんじゃないんでしょうか。

想像してみてください。もし、そのような先入観が全くなかったとしたら……。
もしかしたらペリドットを選ぶ人の方が多いかもしれませんよ。

 

 


 

【第64回】デザートローズ(砂漠の薔薇)

2010年5月28日



dr1.jpg

カミさんコレクションの砂漠のバラ(デザートローズ)です。
両手サイズの大きさがちょっと自慢だよ。

dr2.jpg

セレナイト(石膏:せっこう)の結晶で、なぜか砂漠でしかできない。
さらにそのでき方はまだよくわかっていない。

「結晶が成長するときに砂を取り込んでいった」としかいえないんだけれど、
表面にしか砂の付いてないものもある。
このデザートローズもそう。割れている部分を拡大してみると中は透明。

dr6.jpg

部分的に砂の付いていないところもあって、そこはキレイに光が通る。

dr8.jpg
dr7.jpg

産地はチュニジアかアルジェリアかモロッコ。
買ったときサハラ砂漠ってしか書いてなかったからなんだけど、調べてみると
「サハラ砂漠北部」で掘り出されるってなってた。
北部っていうとチュニジアかアルジェリアかモロッコ。だから産地はそのあたりかな。


鉱物的には石膏(せっこう:ジプサム)の結晶であるデザートローズ。
ちょっと細かくいうと、バライト(重晶石:じゅうしょうせき)でできたデザートローズもあるんだけど、
今回は一般的な石膏でできたデザートローズを取りあげます。 

bar_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより

バライトのデザートローズ。色が違うね。

正確にいうと二水石膏(にすいせっこう:ジプサム)の結晶。「二水」というのは結晶の中に
わずかだけれど水の分子が含有されているということ。

何年か前、デザートローズの採掘をテレビでやっていたんだけど、オアシスの近くで掘り出していた。
だから、てっきりオアシスとかたっぷりの水のあるところじゃないとダメなんだって思ってた。
でも、けっこう砂漠のあちこちにあるみたいなんだよね。

砂漠のど真ん中まで行っていたら、掘り出し中に人間が干からびちゃうから
オアシスの近くでしか作業できないのかもしれない。

ひとついえることはこの結晶ができた頃はサハラ砂漠にも水があったってことだよね。

それで、砂の中からこんなモコモコしたものを掘り出すなんて、まるでイモ掘りみたいだって
想像していたんだけど、実際にはぜんぜん違った。

小さいものがコロコロたくさん出てくるんだったらイモ掘りみたいだけど、人間の身長よりデカイのも
ゴロンゴロンあって、もうイモなんてレベルじゃない。
ものすごく高い水圧の水で砂をはじき飛ばし、中に隠れているデザートローズを探し出す。
強いていうなら、「砂漠でレンコン掘り」って感じに見えた。
でも、ホントに砂漠の中。砂の中にデザートローズは埋まっていたんだ。
 
そして思った。分かり切っていることではあるんだけれど、この砂は「サハラ砂漠の砂」なんだよ。
一粒一粒がサハラ砂漠の一部。この色がサハラ砂漠の色。デザートローズはサハラ砂漠そのものなんだ。

 

さて、例えばどんなに石に興味のない人でも石膏を知らない人はいないと思う。
骨折したら石膏(ギプス)で固められるし、美術室にはデッサン用の石膏像がある。
それに建築物の天井や壁には耐火用の石膏ボードが使われている。
これらの石膏とデザートローズやセレナイトがおなじ石膏だなんてちょっと想像が付かない。
私も骨折した経験があるから石膏というとギプスのイメージしかなかった。
 

それに石膏はギプスなのかジプサムなのかセレナイトなのか、
はたまた別の何かなのか名前もよくわからない。

前述でもジプサムといったりセレナイトといったり、確実に混乱する書き方をしている。
ちょっとここで整理してみたいと思う。

・二水石膏(にすいせっこう:ジプサム)
鉱物的にジプサムというとこの二水石膏を示している。
この中で透明な結晶が透石膏(とうせっこう:セレナイト)。
繊維が束になっているようなのもを繊維石膏(せんいせっこう:サティンスパー)。
結晶せず単なる塊になったものを雪花石膏(せっかせっこう:アラバスター)と読んでいる。
※ 石膏ボード、石膏像はこれに含まれる。

cel1_wiki.jpg
セレナイト ※画像はウィキペディアより

sat1_wiki.jpg
サティンスパー  ※画像はウィキペディアより

ala1_wiki.jpg
アラバスター ※画像はウィキペディアより


・半水石膏(はんすいせっこう:バサナイト)
二水石膏に比べて含んでいる水が4分の1。
二水石膏を160℃以上で加熱すると水分が蒸発して半水石膏になる。
加熱するとできることから焼石膏(しょうせっこう)とも呼ばれたりする。
粉末にして水を加えると二水石膏に戻って固まる性質がある。
※ というわけで、骨折したときのギプスはこの半水石膏。

gips_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより


・無水石膏(むすいせっこう:アンハイドライト)
水をまったく含んでいない石膏。硬石膏(こうせっこう)ともいう。
どんなに粉末にして水を加えても二水石膏や半水石膏にはならない。

anh1_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより
 

整理したつもりが反対に難しくなったような気がするな。
でも、重要なのは二水石膏だけ。見た目の違いで3つの名前がついているって
ことを知ってくれたらそれでいいんだ。
でも、全部まとめてジプサムといっているときもあるし、日本語では石膏でひとくくりだから、
そこは注意が必要だよ。
で、ギプスはジプサムのオランダ語でした。

 
それにしてもセレナイトというと、ひとつ思い出があるんですよ。
何年か前のことだけど、カミさんがパスタを茹でるときにモンゴル産岩塩を使ったんですね。
セレナイトって、海水が蒸発して岩塩ができるときに岩塩より先に結晶して沈殿するらしいんですよ。
そしてその後に岩塩ができるから、セレナイトと岩塩の混じっている部分が当然あるわけ。
どうやらその部分に大当たりしちゃったらしくて、それに気づかないで作ったパスタを食べて
二人とも口の中がジャリジャリ。
まさかセレナイトだなんて思ってないから、割れたガラスが混入したと思い大騒ぎ。
警察に通報するかどうかまで話し合ってしまったよ。

とりあえず鍋とかを片づけていたら出てきましたよ。
パスタを茹でた鍋の底から、セレナイト。
一円玉の半分くらいの大きさで可愛いのがいくつも。しかも双晶まで。

kc.jpg

mrs.jpg
 


この出来事でわかったこと。

・セレナイトは水に強い。
若干は溶けるけれど、それは何年もかけてであって、ジャブジャブしてもぜんぜん平気。

・熱にも強い。
そりゃ火であぶるのはダメだけど、煮るくらいならぜんぜん平気。

・毒性はない。
あったら死んでる。漢方とか化粧品とか食品にも使われているそうですよ。

・かなりもろい。
噛んだら粉々になる。実際、硬度は2しかない。もろい上にやわい。


そのセレナイトですか?
ええ、もちろん岩塩とともにカミさんのコレクションボックスに入ってますよ。


---------------------------

プレゼント企画!(締め切りました)

「石詰め合わせ福袋」を10名様にプレゼント!!

自分たちで採集したもの買ったもの。
日本産から外国産。
小さなものから大きなものまで。

郵便局のエクスパック500にいろいろ詰めてお送りします。

だいたい中身はこんな感じ。

fuku.jpg

水晶、ガーネット、フローライト、サファイア、ヒスイ、トパーズ、岩塩、アクアマリン、ムーンストーン、トルマリン、などなど。


これら全部が入るわけではありません。

この中から5種類か6種類がランダムに入ります。
福袋だからね。正確には福箱か?!

応募は締め切りました。 たくさんのご応募をありがとうございました!
当選者の方には後日メールを送りますので楽しみにお待ちくださいませ。

------------------------
追伸
横浜に引っ越しました。
また引っ越し? と思われると思いますが、これまでの海老名は仮住まい。この引っ越しこそが本当の引っ越しです。
近くには海軍道路と呼ばれる3キロくらいの直線道があって、アメリカ海軍の通信施設があったことからそう名付けられたそうです。
その施設近辺は広大な空き地で、とくに何もないんですけど、「DANGER この先に立ち入ると日本の法律で罰せられます」なんて看板があったりしてちょっとビビってます。

 

 

 

 

【第63回】へんてこ水晶

2010年4月30日

こんにちは、くみ子です。
いつもはダンナが書いているんですけど、今回は上手く書けなかったみたいで、アナヒータの担当者さんにボツにされちゃいました。

内容は「私が今こだわっている石」についてだったんですけど、やっぱり「私のこだわり」だからかな。

それがダンナに上手く伝わらなかったようなのです。
だから、ダンナには私がしゃべることをそのまま書いてもらうことにしました。
これならきっと私のこだわりが皆さんに伝わるに違いない! と思ったりしてます。


さて、その私がこだわっている石というのは「水晶」です。


水晶って石に興味のない人でも知っている、もっともメジャーな石じゃないですか。
なんで今になって水晶? って思われたかも知れませんが、私がこだわっているのはそんじょそこらのショップで扱っているような水晶ではありません。
自分で採りに行かなければ絶対に手に入らない、そんな水晶なのです!

かなり大きく出てみましたが、そんな水晶とはどんな水晶かというと、こんな水晶です。

63_aaa.jpg

え? 水晶の破片にしか見えないって?
でしょー。
ところが、違うんですよ。
これ、実は立派な水晶なのです。

63_aa2.jpg←横から見たところ。

わははは! ペラペラ。
でも、見えるかなあ、結晶面がちゃんとあるんですよ。

63_aac.jpg←ちょっと角度を変えて。

結晶面がわかるでしょ。
ちゃんと六角形をしていて、先端部分にホンのちょっとですけど頭もしっかりあるんですよ。
   

じゃ、次はこんなのどうでしょう。

63_bbb.jpg

さっきのに負けず劣らずデコボコでペラペラで破片っぽいでしょう。
でも、しっかり柱面もあれば頭だってある。

さらにこれ。

63_bb2.jpg

63_cci.jpg 63_ccj.jpg

頭の部分がクイッと曲がっている。
しかも両錐(両錐:ダブルポイント)。

どうです?
こういう水晶、採集に行って見つけようと思っても、そうそう見つけられるものじゃないんです。
 

こんな水晶ができる理由は成長するための十分な隙間がなかったからからだと思うんです。
ペラペラなのは隙間がその幅しかなかったから。
デコボコなのは隙間がそういう形をしていたから。
クイッと曲がったりしているのは成長していく先を何かがふさいでいたから。
もちろん、理由はそれだけじゃないのでしょうけど、のびのび成長できなかったのは間違いないだろうなって思います。

そんなことを考えながらこの水晶たちを見ていると、
「ボク頑張ったんだよ、水晶になろうと一生懸命頑張ったんだよ」って声が聞こえてきて胸がキュンとなります。
だから、私はこんな水晶が可愛くてしかたがないのです。

 
他にもいくつかあるんで写真を載せてみますね。

63_dda.jpg
↑左上の頭の部分、よく頑張ったなあって思います。

63_ee1.jpg
↑なんだかひとかたまり。
 頭も丸くなっちゃって、条線がなかったら水晶と気づいてもらえないかも。

63_ff1.jpg
↑ひとかたまりの三角形をした水晶。
 上も下も頭がちゃんとある。とくに上の方は平行連晶をしていてちょっとレアかな。


ところで、同じパターンで「びんた切れの水晶」って知ってますか?
「びんた」って九州あたりの方言で「頭」って意味らしいんです。
もともとはベリルの結晶のことをそう呼んでいたそうなんですが、いつからかそのまま頭のない水晶のことを指すようになったそうです。

beryl.jpg↑ベリルの結晶。コレに六角錐を載せれば水晶の形になる。

「びんた切れ」っていえるかどうかわからないんですけど、それに近い水晶をひとつ手元に持っています。

63_gg1.jpg
63_gg2.jpg

頭なのか何なのかよくわからないでしょう。
たぶん、雲母か何かがあって、そのせいで頭が切られちゃったんじゃないかと思うんです。
柱面にもその跡がクッキリ。

中には本当にベリルのように頭がスパッとないものもあるんです。 
一度だけバベルの塔のような水晶が売られているのを見たことがあるんですが、値段が高すぎてまったっく手が出せませんでした。

63_ba_wiki.jpg
バベルの塔(画像はウィキペディアより)

皆さんはこれら水晶の声が聞こえましたか?
いや電波ではなく、声です声。
もし、同じ声が聞こえたら、同じ気持ちを共有できたなら、こんなに嬉しいことはありません。
 

【第62回】カバンサイト

2010年3月29日

「もしもし、知ってます? アナヒータに丸くて青くてカワイイ石がたくさん入庫してきたんですよ」

いつになくハイテンションでアナヒータの担当者さんから電話がかかってきた。

「カバンサイトっていうんです。 それでですね、こんどの地球のかけらはカバンサイトでいきましょうよ!」

なるほど、カバンサイトに一目惚れしたんだな。
その気持ちはよーくわかる。私も初めて見たときはその色と形に思わず見とれてしまった憶えがある。
オッケ。カバンサイトなら私もひとつ持っている。
どちらかというとマニアックな鉱物ファンにウケている石だけれど、美しい石にマニアックも何もない。ぜひとも多くの人に知ってもらいたい石のひとつだ。

そんなわけでパワーストーン系のショップには珍しい、どちらかというとマニアックなカバンサイトが今回のお題です。


ところが電話の後、ひとつだけ持っていたカバンサイトを取り出そうとコレクションケースを開けたところ、なんとカバンサイトがないっ!
あちこち探してみたけれどどこにもない。去年の引っ越しのゴタゴタでどこか奥底にしまい込んでしまったらしい。
部屋中ひっくり返して探してみたけれどない。かなりショック。
写真も撮ろうと思っていたのに、それもできない。
いつか出てくることを祈りながら、お願いして実際に入荷してきたカバンサイトを撮ってもらった。

61-1.jpg
 

61-4.jpg
深く澄んだ青、細い柱状の結晶が放射状に伸び、丸くなったその姿を一度でも見たなら、誰もがかわいいと思わずにはいられない。
どうです? かわいいと思ったでしょ。思ったでしょ。
それにしても、いままでマニアックな石に甘んじてきたことが不思議な石だ。
母岩になっている白い石はゼオライト(沸石:ふっせき)。
カバンサイトはゼオライトと共に産出する。

さて、あらためてカバンサイトとはどんな石か。
まず発見されたのは1973年アメリカ。しばらくはアメリカのみでの産出だったけれど現在はインドが主産地。

名前。これがけっこう重要。
とりあえずカバン・サイトではなくカバンサ・イトである。日本名はカバンシ石。
日本語の「~石」にあたる部分が英語では「~ite」となるのだけれど、「~アイト」と発音する。
だから、正確にはカバンシ・アイト。それがつながってカバンサイト。

そして今までにない名前のつけかたがされている。
カバンシの「カ」はカルシウムの「カ」。
「バン」はバナジウムの「バン」。
「シ」はシリコン(珪素:けいそ)の「シ」。
なんと主成分の頭文字がそのまま名前になっている。

英名でこんな名前のつけかたをされた石は他にないんじゃないかな。
発見されてから間がない新しい石だから、ついにネタ切れかとも思ったけれど、これって日本名の名前のつけかたと同じなんだよね。
これまではどんな石もお洒落な名前がついていたけど、これからはこんな合理的な名前が増えていくかもね。

61-2.jpg

青い色は主成分のひとつであるバナジウムに起因している。
とかく青というと銅という印象があるけれど、銅はまったく含まれていない。
反対にバナジウムというとバナジン鉛鉱のオレンジがかったピンクやエメラルドの緑というイメージ。
結晶構造や他の成分の影響を受けてこんな色になっているんだけれど、発色って奥が深いなーって思う。


ここでひとつカバンサイトとともに憶えておいてもらいたい石がある。
カバンサイトにはまったく同じ成分でできている兄弟ともいえる石があるのだ。

同じ成分であるにもかかわらず、何かほんのちょっとの違いだけで別の石と認識されることを同質異像(どうしついぞう)というのだけれど、その石の名はペンタゴン石(ペンタゴナイト)。
まるでアメリカ国防総省のペンタゴンと関係があるのかと思ってしまいそう。しかし、それとは何も関係ない。

もともとペンタには「5」という意味があって、ペンタゴンとは単に「五角形」という意味しかない。
アメリカ国防総省も建物が五角形をしているからペンタゴンと呼ばれているだけ。


というわけでこのペンタゴン石にも当然五角形が隠されている。
一見、色も形もカバンサイトと区別がつかない。結晶系も同じ斜方晶系。斜方晶系の中でもさらに細かく分類して初めて違いが出るらしい。
しかし、ペンタゴン石は双晶になったとき初めてその姿を現すのだ。

5つの結晶が双晶をなす5連双晶となったとき、ペンタゴン石はその断面が五角形になる。いや正確には☆の形になる。

ペンタゴン石の写真を用意することができなかったので絵を描いてみました。

pen2.jpg

ホントにこんな形の結晶なんですってば。
気になる人は「ペンタゴン石」で検索してみてください。

このペンタゴン石とカバンサイトは共生している場合がある。
カバンサイトだと思っていたら結晶が☆になっていることもあるらしい。

アナヒータにたくさん入ってきたらしいカバンサイト。これからそれぞれのお店に並ぶはず。
☆の大きさはルーペサイズだけれど、店員さんにルーペを借りて☆を探してみよう。
カバンサイトだけでも希少だけど、もし☆があったらとびっきりの貴重品だよ。
 

【第61回】オブシディアン

2010年2月24日

ob2(wiki) (1).jpg

obA(wiki).jpg
 

※画像はウィキペディアより
 

私だけかもしれないんだけど、オブシディアンと黒耀石(こくようせき)って、その名前から受ける印象って、なんだかずいぶん違う気がしない?

いやいや、オブシディアンも黒耀石もまったく同じ石の英名と日本名なだけなんですよ。

でも、オブシディアンっていうと、ビーズになっていたり、ペンダントトップに使われていたり、手でにぎにぎできるように丸くカットされていたりする癒し系の石って感じ。

ob1(wiki).jpg
 

※画像はウィキペディアより
 

ところが、黒耀石っていうと旧石器時代の鏃(やじり)とかナイフに使われていた「道具」っていう印象。

ob.jpg

obD(wiki) (1).jpg

※画像はウィキペディアより

「この鏃は黒耀石で作られています」とはいうけど、「オブシディアンで作られています」とはいわないからそんな印象になったのかな。

そのオブシディアン、主成分が二酸化珪素(にさんかけいそ)であることから「天然ガラス」って呼ばれている。ガラスっていうことは窓とかのガラスと同じもの。
二酸化珪素を人工的に溶かして固めた人工ガラスに対して「自然に溶けて固まった」ものが天然ガラス。

自然に溶けるっていったいどうやって溶けるのかというと、これはもう火山の爆発しかない。
珪素を多く含むマグマが空気に触れたり水に触れたりして急激(もう瞬時)に冷えると天然ガラスができる。
だから火山国の日本はとくに多い。日本だけで70か所以上の産地がある。
もちろん美しいものとなると場所は限られるけれど、北海道、長野県、島根県、大分県、長崎県あたりが有名。
それと要因は違うけど、隕石の衝突で珪素が溶かされてできたモルダバイトやリビアングラス、テクタイトもでき方としては同じ天然ガラス。

それから、オブシディアンの中には固まる際に部分的に脱ガラス作用とかいうものを起こして斑に白くなるものがある。それがスノーフレークオブシディアン。
また、レインボーオブシディアンは、インクルージョン(内包物)として針状の角閃石(かくせんせき:アンフィボール)が平行にたくさん入ることにより七色に発色する。


さて、ここで意外な事実を。
実はオブシディアンは鉱物ではないのです。

? と、思ったよね。
だって、どう見ても鉱物だもん。
でも、どの本を見ても鉱物ではないと書いてある。

鉱物は「結晶であること」が絶対的な定義なんだけど、オブシディアンは非晶質で結晶ではない。
石英や玉随(ぎょくずい:カルセドニー)、瑪瑙(めのう:アゲート)、それからロードクロサイトの縞々のヤツなんかは非晶質っぽく見えるんだけど、それらは非常に細かい結晶がギュギュッと固まったちゃんとした鉱物。
それに対しオブシディアンはその分子がすでにバラバラでまったく整列していない。整列していないということは結晶になっていないということ。
強いていうなら、石ではなく岩石に分類されるそうだ。
だから黒耀石も本当は黒耀岩が正しいらしい。
んー、岩石って鉱物が固まったものをいうんじゃなかったっけ? なんて思ったりするけど、ここから先は学者さんレベルじゃないとちゃんと答えられなさそうだ。
しかも、同じ非晶質のものとしてオパールがあるんだけど、オパールは「例外」として鉱物と呼んでいいんだってさ。

でも、このままわからないで終わらせるわけにはいかない。そこで、自分なりに調べてみた。
その結果、これまた意外な結論にたどり着いた。
それはこの、分子がバラバラになっている状態というのは、実はこれ液体なんです。
そう、オブシディアンは液体だったんです。

液体?! 液体って、どういうことよ!

って、当然思いますわな。 
 
んー、たとえば、こう考えてみて。
「流れる水の時間を止め、それを切り取ったような」そんな感じ。
それはあくまでも水で、けして氷じゃない。
それがオブシディアン。
 
どうかな、ちょっと強引すぎるかな?


最後に。オブシディアンを持っている人、もし割っちゃったときは本当に気をつけてね。
古代のナイフとして使われていたように、その割れ口は刃物と同じ。

obB(wiki).jpg 

※画像はウィキペディアより

割れ口が貝殻状になることがオブシディアンの特徴のひとつだけど、その切れ味は切れなくなった包丁のそれ。
指を切ったら、いつまでも痛いぞー(経験者談)。
 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

【第60回】レインボー水晶

2010年2月 1日

2009年7月頃に突然登場したレインボー水晶。みなさんはもう手にとってその七色の輝きを確認したかな?

bow2.jpg bow6.jpg

一見カクタスクオーツのように見えるのだけれど、ひとつひとつの結晶に光を当ててみると結晶面が七色に光る。

パワーストーンでは結晶の中に入ったクラックに光が干渉して見えるものをレインボーっていうけど、これは結晶の表面が光ってるんだからそれとは違う。

このレインボー水晶、水晶といわれているにもかかわらず、最初、水晶だと思わなかったんだよね。もちろん形は水晶なんだけれど質感が水晶っぽくない。
なにかちょっとロウみたいな光沢で滑石(かっせき:タルク)? って思うような質感。
光り方もムーンストーンかアポフィライト(魚眼石:ぎょがんせき)あたりに見えたし。
でもね、やっぱり水晶なんだよね。
まだ見たことのない人はぜひ手に取ってみてください。きっとすぐにこの不思議感を共有できるはず。

bow4A.jpg

で、この不思議感の原因は何か。
たぶんこの水晶、表面に何かがコーティングされているんじゃないかと思うんだ。
薄い透明な何かがコーティングされ、それが光の干渉を起こしている。
そうでなければ質感が変わるなんてことあり得ない。
 
水晶の結晶面に何かがコーティングされるということは比較的よくあって、ほとんどの場合は酸化鉄。鉄錆のことなんだけど、そのせいで真っ茶色になっていることもある。

sabi.jpg

アクアオーラってそれを人工的に再現したもの。
水晶などに人工的に金属鉱物を蒸着コーティングしたもの。
あくまでも人工物だけど、信じられないほど美しい青や赤の水晶クラスターが作られている。

aura1(wiki).jpg
aura2(wiki).jpg
※画像はウィキペディアより

このアクアオーラよりも天然のものはさらに薄くコーティングされている場合があって、それらは結晶面が七色に光っている。
レインボー水晶はこの光り方にそっくりなんだよ。

tennen.jpg

しかし、金属の場合はとりあえず赤とか青とかがベースにあって、その上で七色に光っている。
それに対しレインボー水晶はベースが無色。金属でない何か別の鉱物がコーティングされているような感じだ。
きっと特殊な天然アクアオーラで決まりかな。


ところが、よくよく結晶を眺めてみると、表面だけでなく結晶の内側でも七色に光っているじゃあーりませんか。
内側にコーティングするのはいくらなんでもムリ。天然アクアオーラ説は早くも崩壊か?

そこで私は考えた。
これはもしかしてファントムなんじゃないだろうか。
ファントムとは山入り水晶ともいって、成長が止まった水晶に他の鉱物などが降り積もり、その後それを覆うように再び成長した水晶のこと。
水晶の内側に水晶がある不思議な水晶。ときには何段も重なっているのものある。

fant.jpg

結晶面に何かがコーティングされその後再び成長するということを少なくとも2回以上繰り返した水晶。それがレインボー水晶なんじゃなかろうか。
内側と外側の輝きが重なってムーンストーンのように見えたのかもしれない。

天然アクアオーラのファントム。

これがレインボー水晶の正体だ!

うーん、まだ何にもわかっていない水晶だから大胆にも仮説を考えてみたよ。


さて、このレインボー水晶、2009年にインドで発見された。
2009年なんて書いているけど、それ去年だよね。1年も経っていないんだよね。
名前だってちゃんと決まっていない。この記事では便宜上レインボー水晶って書いているけれど、他にも虹色水晶とか遊色水晶とか呼んでいるところもある。
ホントに見つかりたてのホヤホヤ。

「だから」なのかかわからないけれど、かなり値段が張る。
クラスターならば小さくても最低1万円から。ちょっと大きめで透明なものになると10万円を軽く超えている。

とんでもない金額なのだけど、実のところ私はこれが底値なのではないかと密かに思っていたりして。
普通、出始めは高くて後にどんどん値がこなれていくのが一般的。でも、希にそうならなかった石もあるんですよ。
たとえばパライバトルマリン。
1989年、それまでになかったネオンブルーのトルマリンがブラジルのパライバ州で発見された。
初めは良質の石が大量に供給されていたのにわずか1年で枯渇。石の品質は落ち価格は10倍になった。

レインボー水晶はどうかな? 昨年発見されたばかり、現在じゃんじゃん採掘している。しかも産地は世界中でインドのアジャンタ鉱山1ヶ所のみ。
パライバトルマリンほど極端ではないにしても、1年後には枯渇、閉山してしまっている可能性が大ありなのだ。
ちょっとでも気になっている人は今のうちに手に入れておいた方がいいかも。

(注意)あくまで私の個人的な予想ですので、外れてもクレームはナシね。


レインボー水晶については今現在大急ぎで研究がなされているそうだ。
コーティングされているものは何なのか。内側コーティングの秘密は? そもそも本当にコーティングなのか。

2010年中には分析結果が公開される予定。
それまで、いろいろ考えてみるのもきっと楽しいよ。

 

 

 ※レインボークォーツはこちらからもご覧いただけます。


 

【第59回】進展あった? ガーネット

2010年1月 1日

平成二十二年、新年明けましておめでとうございます。
2010年です。

本年がみなさまにとってステキな一年となりますようお祈り申し上げます。


さて、1月の誕生石といえばガーネット。

あの、コロッとした丸い12面体・24面体・36面体の結晶。
多くの人は結晶というと水晶のようなまっすぐ立ったものを想像しているから、丸いガーネットには誰もが必ず一度は驚く。 
 

そのガーネット、第22・23回で一度紹介しているんだけど、そのときからすでに2年。何か新しい発見など進展はないのだろうか。 

 

と、その前に、ちょっとおさらい。

ガーネットの語源はザクロの実を表すラテン語のグラナトゥム。それは洋の東西を問わず同じで日本名はそのまま石榴石(ざくろいし)。

それから重要なこととして、ガーネットという名称はけしてひとつの石を指しているのではないということ。
例外を除き大きく分けて6種類あるガーネットグループの総称だということを忘れてはいけない。
  


・アルマンディンガーネット(鉄礬石榴石:てつばんざくろいし)基本色:赤
Almandine2.jpgAlmandine3.jpg


・スペサルティンガーネット(満礬石榴石:まんばんざくろいし)基本色:赤

Spessartine1.jpg

Spessartine2.jpg


・パイロープガーネット(苦礬石榴石:くばんざくろいし)基本色:赤
Pyrope1.jpg
Pyrope2.jpg

・グロッシュラーガーネット(灰礬石榴石:かいばんざくろいし)基本色:無色
Grossular3.jpgGrossular5.jpg


・アンドラダイトガーネット(灰鉄石榴石:かいてつざくろいし)基本色:緑
Andradite4.jpg
Andradite1.jpg


・ウバロバイトガーネット(灰クロム石榴石:かいクロムざくろいし)基本色:緑
Uvarovite5.jpg
Uvarovite4.jpg


礬:アルミニウム 満:マンガン 苦:マグネシウム 灰:カルシウム

一覧を書いてみました。日本名は主成分がそのまま名前になっている。わかりやすいんだけれどロマンチック度はイマイチかな。


ところで、「グリーンガーネットって特殊なガーネットなの?」って質問がよくあるんです。


ガーネットって基本的に赤いものって誰もが思っているんで、
どうしてもグリーンガーネットって特別な気がするんだよね。

でも、一覧を見てのとおりガーネットにはもともと赤と緑の2種類あるってこと。

あとは主成分の含有率によって赤が濃くなり過ぎて真っ黒になっちゃったり、淡いオレンジになったり。または目の覚めるようなアップルグリーンだったり地味な茶色だったり。


だから見た目の色の違いだけでたくさんの名前がついている。しかし正確に分類したら必ず上記6つのうちのいずれかにあてはまる。


有名なロードライトやボヘミアン、マンダリン、デマントイドなどもあくまで通称だってこと。


とくにここ数年、鉱物ファンを大いに賑わせたレインボーガーネット
(※)世界で唯一、2004年に奈良県で発見された、一見、茶色いだけの、しかし光を当てると七色に光るガーネット。クラックやインクルージョンで七色に光るのではなく、初めから七色に光るような結晶構造を持っているガーネット。


これも正確にはアンドラダイトに分類される。

(※) 世界で唯一
以前メキシコでレインボーを示すガーネットが発見されていますが、すでに枯渇しており現在そこでの産出はまったくありません。
奈良県で発見されたレインボーガーネットはメキシコのそれに比べあまりにもレインボーが強かったために「スーパーレインボー」と呼ばれています。
 

まあ、おさらいとしてはこんなところかな。思い出した?


ところで、先だって名古屋のミネラルショーに行ったんですよ。
そこで、そのレインボーガーネットの発見者の方とお話しする機会がありまして、どういう状況で発見されたのかを訊いてみました。

いやね、新産地ってどんなふうに発見されるんだろうと思ってさ。

そこは奈良県のある山の登山道。ずっと以前から緑のアンドラダイトがあるってことで有名だった場所。
その人がそこへ採集に行ったとき、風に踊った木漏れ日が沢をはさんだ反対側の斜面をサーッと横切った。その瞬間、なんとその斜面がキラキラキラ~っと輝いたそうな。


ま、フツーは「おや?」っと思うよね。とりあえずその反対側の斜面に行ってみたところ、なんと足元が全部ガーネット。色を確認するために木漏れ日に照らしてみたところ突然七色に輝きだし絶句。
しばらくは一歩も動けなかったそうだ。
 

この話の最大のポイントは、もともとよく知られていた場所の、その反対側の斜面にとんでもないものがいたにもかかわらず、何十年、へたしたら何百年も誰も気がつかなかったってところだ。


この場所には私たちも採集に行ったのだけれど、ほぼ平坦な道を徒歩15分、沢をはさむといっても、その沢には一滴の水も流れていない。サンダルで来ている女性もいたくらい簡単に行けるところ。

すでにわかっていることはとても簡単に見える。しかし、それに気がつくまでは無限大の難しさなのだ。

「気づく」ということがどんなに重要で偉大なことなのか、あらためて考えさせられる話だった。

 

その産地は発見からわずか半年で自治体により採集禁止になった。そりゃそうだ、世界でただ1ヶ所の産地なのだから町をあげて保護するべきだ。
 

しかし、レインボーガーネットを発見したこの人たちはさらなる新産地を求めた。
川を渡り、山を越え、藪をかき分け、クマと対面し、スズメバチに追われた。

そして昨年、2009年。ついに進展があった。
彼らが新しいレインボーガーネットを見つけたのだ。

それはこれまでとはあきらかに違うレインボーだった。
それは「ネオンレインボー」と名付けられ、さっそく名古屋ショーにお目見えしていた。
そのままならば黒茶っぽい地味なガーネットなのだけれど、光を当てた瞬間、結晶面がブルーに輝いた。
このときに私も初めて見たのだが、それはなんとも妖しくブルーに輝いていた。

rainbowblue.jpg←この青に光る

これを見た瞬間、なんとしても採集に行かなければならないと思った。
しかし、その場所は徒歩2時間。しかも急な斜面を登り続けなければたどり着かないところ。とても根性無しの私たちが行けるようなところではない。

「案内してあげる」というありがたいお言葉をいただいたにもかかわらず、「行けません」と答えるまでに1秒もかからなかった。



なるほど、確かにこのネオンレインボー、いちおう値段は付いていたのだけれど、「おいおい、絶対売る気ないだろう」という値段だったのはそういうわけか。


2005年から2009年までガーネットの進展はこのネオンレインボーの発見だろう。ただでさえ世界で唯一の産地だった奈良県にまた新たな産地が加わったのだ。

新産地を求めて山中を歩き回ることはかなり困難なことだけれど、ハイキングやドライブで出かける山にもきっとステキな石たちが隠れているに違いない。

それに出会うためにはちょっとした「気づき」が必要なだけだ。気づくためには、普段通り過ぎているだけのところに少しだけ注意を向けてみればいい。


日本はすごい。私たちの足元にはまだ誰にも気づかれていない石たちが確実に眠っている。


 

------------------------------------------------------
巷では2012年という映画が話題になっておりますが、それよりも前の今年2010年といえば、木星が第二の太陽ルシファーとなりモノリスが人類の進化を……。

なんて、これは映画「2001年宇宙の旅」の続編「2010年」の一場面であります。

そういえば、ここ最近また終末思想がはやってきているみたいですが、みなさん踊らされちゃいけませんよ。
1999年だって何もなかったでしょう。

あのときは30年も前置きがあったんですから私なんかドキドキしていました。でも結果として何もなし。ヒョーシ抜けって感じでした。
それにノストラダムスの予言は3797年まで続いているんですけど、当時はそういうこと一言もいわなかったでしょ。

2012年だって、マヤのカレンダーがそこで終わっていることが理由なんだけれど、それっていってみれば1年のカレンダーが12月31日で終わっているようなもの。で、当時のマヤ人があまりにも遠い未来の日付をつけてもしかたがないと思い、いったん区切りをつけただけのこと。

カレンダーの終わりであって人類の終わりじゃない。そこにフォトンベルトが乗っかっちゃったってところでしょうか。


それにしても終末思想を吹聴している人たちって絶対ふざけてますよね。
その証拠にこの後2020年・2030年・2060年と滅亡説が控えているんですってよ。

「2001年宇宙の旅」が制作されたのは1968年。「2010年」は1984年。
過去において「未来」とされていたこれらの年代を、現在の私たちは次々と通過していると思うと、なんだか感慨深いというか妙な気分であります。

【第58回】トルコ石(ターコイズ)

2009年11月27日

 12月の誕生石といえばラピスラズリとトルコ石(ターコイズ)。
turquoise3_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより


ラピスは第11回で早々に取りあげているんだけど、トルコ石は第58回にして今回が初めてです。
 

turquoise4_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより

そう、トルコ石。

なぜ、今になってようやくなのか。
はい、そうです。
実はこれまでトルコ石を避けてましたぁー!
トルコ石ファンの方、申し訳ない!!

なぜ、避けていたのか。
それはトルコ石にはイミテーションがあまりにも多く、「こんなのはダメ」「あんなのはダメ」っていうばかりの、とってもネガティブな内容になってしまうと思っていたからなのです。

でも、トルコ石はとってもキレイ。
しかもすごく歴史が古い。
アステカ文明やマヤ文明などの古代遺跡からも発掘されているし、エジプトでは少なくとも紀元前3000年の第一王朝以前にはすでに装飾品として使われていた。
さらに紀元前5000年のメソポタミア文明(現イラク)の遺跡からもビーズが見つかっている。
ってことは、7000年以上の歴史があるってことだ。

Fragment_sphinxes_Louvre_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより
Mayan_mask_wiki.jpg Tutanchamon_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより

こんなすばらしい石をいつまでも避けていてはいけない。
ここはひとつ、イミテーションのことは考えず「トルコ石」についてだけ考えてみるのが正解だなっと思ったしだいなのであります。
(イミテーションについて知りたい人は「トルコ石 イミテーション」で検索してみてね)


さて、トルコ石といえばどんな石を思い浮かべるかな。
まず色はターコイズブルーと呼ばれる澄んだ青空のような水色にクモの巣のような黒い模様が入っている石。
一般的にはこの印象だろうな。

この水色、濃ければ濃いほど高級とされている。
もちろん天然物だから同じ水色でもムラがあり、少し薄い水色がまだらのように入っている。
この水色は主成分である銅の色なんだけど、不純物として鉄が入ってくるとだんだん緑っぽくなってくる。 

turquoise1_wiki.jpg

緑がかったトルコ石はヒマラヤの一部地方で珍重されているんだけど、世界基準でいくと水色の方がより価値が高いとされている。

それから、クモの巣のような黒い模様。これは褐鉄鉱(かってっこう:リモナイト)でできていて「スパイダーウエーブ」とか「メイトリックス」とか「ネット」って呼ばれている。私はスパイダーウエーブがカッコイイと思うんだけど、正式名称ってないみたい。

現在、最も高級とされているトルコ石はアメリカアリゾナ州スリーピングビューティー鉱山産のもので、鮮やかな水色に細かいスパイダーウエーブがふわっと被っている感じのもの。
これが最高級とされているんだけれど、それはあくまでアメリカでのこと。ヨーロッパは逆でスパイダーウエーブのない方が好まれていたりする。
みなさんはどっちが好みかな。


続いてちょっと鉱物的な特徴になるんだけど、トルコ石は銅を採掘する銅鉱床から二次鉱物(にじこうぶつ)として産出する。


二次鉱物?

これまで紹介したことのない言葉なんだけど、トルコ石に限らずあるいくつかの鉱物にはたまに「二次鉱物」という説明がついている。
だから二次鉱物ってなに? って思っていた人も多いんじゃないかな。

とりあえず、二次鉱物があるってことは、その前に一次鉱物があるってことで、よく見かける水晶やトルマリンなどほとんどの鉱物は一次鉱物。
そのなかに黄鉄鉱(おうてっこう:パイライト)や黄銅鉱(おうどうこう:チャルコパイライト)などの金属鉱物がある。この金属鉱物が長い年月、雨風(ホントはもっとヤヤコシイ)にさらされるとその成分が化学変化を起こし違う性質の鉱物になる。これが二次鉱物。
 

身近なところでいうと「鉄」かな。

鉄を野ざらしにしておくと錆びちゃうでしょ。その錆こそが鉄の二次鉱物なわけ。
錆のなかにはちゃんと鉄が含まれているから、そこから鉄を精錬することが出来る。
鉄鉱石はほとんどが錆の状態で採掘されている。純粋な鉄なんて自然界にはほとんど存在していない。

他に有名な二次鉱物というと孔雀石(くじゃくいし:マラカイト)がある。これもトルコ石と同じ銅の二次鉱物。

malachite_wiki.jpg

鉄と違って銅はキレイな二次鉱物を作りやすいんだと思う。

マラカイトは日本でもけっこうあちこちで採集できるんだけど、日本産のトルコ石については、唯一1994年に栃木県で見つかったという話があるだけで、他は聞いたことがない。

考えてみれば、産出国はどこも砂漠の多い地域だから、高温多湿の日本ではなかなか難しいのかもしれない。
 

ところで、性質が変わっても二次鉱物とは呼ばない石もある。

例えば第29回で紹介した「桜石(さくらいし)」。この石はアイオライトがその形だけを残して溶けてしまい、そこに雲母が入り込んで置き換わった石。だからアイオライトの成分は何も残っていない。
こういうのは仮晶(かしょう)といって二次鉱物ではないからゴッチャにしないようにね。


そうそう、まだ結晶について書いてなかった。

トルコ石は目に見えない非常に細かい結晶の塊でできいるから決まった形がない。
でも、希にではあるけれど肉眼サイズの結晶が発見されている。
 

私もまだ写真でしか見たことがないのだけれど、その結晶はそれはもう信じられないほど美しかった。通常目にするトルコ石とはまるで違う。

色ムラのない均一のターコイズブルー。しかも光が通る。
想像してみてほしい。美しくないわけがない。
しかし、しかしなのである。
その結晶は最大でも1ミリの大きさしかなかった。
んー、誰か人工ターコイズとして大きな結晶を作ってくれないかな。
天然物じゃなくても、それならばかなり嬉しいかも。


そういえば最近、スパイダーウエブのあるトルコ石が店頭から減ってきているような気がする。
ヨーロッパタイプに世間の好みが移ってきたのだろうか。
次はきっとヒマラヤタイプの緑のトルコ石が人気になるかもね。


 

本文の終わりです
ページの終わりです
先頭にもどります