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地球のかけら

【第40回】シトリン

2008年10月15日

シトリンって黄色い水晶なんだけど、実はとってもめずらしいってこと、みなさん知ってる?
そんなこと知ってるよ。って人も多いと思うけど、たぶん思っている以上にシトリンは本当にめずらしい。

 40-sito.jpg

 

水晶といえば紫水晶が一番人気で、それは私たち採集家も同じ。紫水晶を求めてあちこちの山へ行くけどシトリンを探すってことはあまりない。っていうか、まったくない。
でもそれは人気がないからじゃない。それは、あまりにも「ない」から。いくら探してもシトリンは見つからないから。
だから誰もが、シトリンのことはあまりいわなくなった。いわなくなったら、何か人気がないような感じになってしまった。

宝石ってその条件のひとつに「希少なこと」ってあるんだけど、希少すぎると反対に認知度が下がって忘れ去られてしまう。
ほら、ダイヤモンドって希少希少っていうけど、どこの宝石店にも必ずあるでしょ。やっぱり、ある程度まとまって産出しないと評価の対象にもならない。
シトリンはまさにそんな石。どんなにめずらしくても、そのことを知らない人には「ふーん」としかいってもらえない。 

ところで、シトリンは希少すぎるって声を大にしていっているけど、ショップに行けばどこにでも必ずシトリンは売っている。
とりたてて騒ぐようなめずらしい石じゃないって感じでたくさん並んでいる。

あれは何なのか。

あれは何なのか? と問われれば、あれは紫水晶なのです。
正確には元紫水晶です。

紫水晶の発色の原因は鉄イオン。シトリンも鉄イオン。若干、電子の配置がどうのこうのなんて難しいことがあるみたいだけど同じ鉄イオンによる発色。
鉄イオンを含んだ水晶に放射線が当たると紫になる。
紫水晶ばかりだということは自然には放射線がたくさんあるってことなんだろう。

でもシトリンはごくわずかではあるけれど産出はある。天然に産出するシトリンはイエローというよりはどちらかというと若干黒が入ったような黄色。ブランデーイエローとかいったらいいのかなあ。
私も写真でしか見たことがないけど、いまいち鮮やかさが足りなかったんだよね。
ところがあるとき、ブラジル産の濃い紫水晶を約450℃で加熱すると鮮やかな黄色になることを発見した人がいたんだ。
「あ、こりゃいいや、これシトリンでいこう」ってことになって、それ以来、紫水晶を加熱処理してシトリンにすることが一般的になった。
現在流通しているシトリンは99パーセントがこれなんだ。
もちろん元になる紫水晶の質によってシトリンも色が変わるわけだから、中にはやけに赤っぽいとかオレンジっぽくなるものもあって、そういうのはパルメイラとかマディラって名前になって売られている。
色的には黄色、赤味がかったオレンジ、茶色味がかった黄色に大きく分類されているのかな。
だからもし、いまいち鮮やかでない、ちょっとパッとしないシトリンがあったら、それこそ天然無垢なシトリンなのかもしれないよ。

そういえば、誰かのホームページで「紫水晶は太陽光で退色するか」っていう実験をやってたな。
窓際にブラジル産の紫水晶をおいておいたらどうなるかっていう内容だったんだけど、1年間おいておいたら黄色くなったって。
えらいなー。こんな実験、自分じゃできないよ。
(私はやってみたいな<カミさん)

それと、シトリンといえば、その色が宝石のインペリアルトパーズに似ていたんだよ。だから今から30年か40年くらい前かな、シトリンはシトリントパーズっていう名前をつけられて、明らかにトパーズとして売られていたことがあった。これは完全に悪徳商法で今はもうそんなことはない。

でもそんな経緯もあって、今でも宝石店ではシトリントパーズという名前が一般的。シトリントパーズなんてパワーストーンショップやミネラルショップではあり得ない名前。宝石業界だけに残っている悪習なんだと思う。
シトリントパーズという名称は早く消え去らなければならないものだと私は考えている。


さて、最近、ちょっと水晶の記事が多いんだけど、なぜかっていうと奥が深いから。なんだか、やけに水晶って奥が深いんですよ。
色が違えば名前が違うっていう石は多いけれど、ちょっと形が違ったり面の形が違ったりするだけで名前が違ったり意味が違う石って水晶以外ないんです。
なぜ水晶だけがこんなにすごいことになっているのかって考えると、それは形がよくて色も豊富にあってキレイだからに違いない。
さらに数も多いから値段もこなれている。
そうくれば当然人気はナンバーワン。しかもダントツのナンバーワン。
人気のあるものにはいろんな付加価値がついてくるってことなのでしょう。

今回、シトリンのことを書いてみて思ったことは、シトリンだけでもむちゃくちゃ奥が深いってこと。
水晶についてはこれからもことあるごとに取りあげてみたいと思います。

40-br_citrine01.jpgのサムネール画像


  

話は変わるんですけど、シトリンの語源はフランス語でレモンっていう意味のシトロンなんだけど、硫黄をインクルージョンとしたレモン水晶ってちゃんとあるよね。
フランスではどうやって区別しているんだろうね。シトリンクオーツとシトロンクオーツなのかな。
 

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