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地球のかけら

【第12回】夏の恐怖体験と琥珀

2007年8月15日

今回はカミさんがトラウマになってしまった出来事です。
虫が嫌いな人は、ハッキリいって読まない方がいいかも……。
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お盆になり夏休みもすでに後半。
この夏、初めて宝探しに挑戦された方もたくさんいるんじゃないかな。私たちもいくつかの産地で、初めてっていう人たちと何回か一緒になったよ。
でも、鉱物採集は山の中に入っておこなうことが多い。何も考えずに入って行ってしまうとひどい目にあってしまう。
昨年の夏、カミさんが恐怖のあまり泣き叫ぶ事件が起こってしまった。

それは岩手県久慈市に琥珀(こはく:アンバー)を採集しに行ったときのこと。
琥珀の含まれている地層を確認しようと林道に車を進めたところ、コツンコツンと何か小さなものが車にぶつかってくる音がしだした。
しばらくは気にしないで走っていたのだが、途中で私がトイレに行きたくなり車を停め外に出た。その瞬間、私は恐怖を見たのだった。

車全体がアブに覆われていた。

アブは熱や色に反応し血を吸うために群がってくる。コツンコツンという音は走っている車にアブが突進してきていた音だったのだ。
一瞬にして私はアブに覆われてしまった。
「イテッ、イテッ!」
皮膚が露出しているところはもちろん、服の上からもアブは私のからだを噛んだ。
もうトイレどころではない。急いで車に戻ろうとしたとき、その中から悲鳴が聞こえてきた。
何十匹ともしれないアブがカミさんにたかっていた。
車を降りたとき、私と入れ替わりにアブが入り込んでいたのだ。

早くカミさんを助けなければ。だが、ドアを開けた瞬間またアブが侵入すること必至。
しかし、ここにじっとしていてもアブは増えるばかり。とにかく一秒でも早くこの林道を脱出しアブのいないところに逃げなければならない。
覚悟を決めドアを開ける。
「ぎゃーーーーっ!!」
カミさんはさらに大きな声で泣き叫んだ。
普段とても大切にしてるドン・ケローネというカエルのぬいぐるみを振り回しアブを追い払おうとするカミさん。しかし、彼女の頭には無数のアブがたかっていた。

林道を抜け民家の建つところまで来たとき、ようやく車のまわりにアブはいなくなっていた。
車を停め窓を全開にする。カミさんはそのぬいぐるみを顔に押し当てたまま固まっていた。


山に入るときクマに対する注意は個人個人十分考えていると思う。またクマも進んで人間に近づいて来ることはない。しかし、アブはお構いなしなのだ。後から後から限りなく襲ってくる。
この時以降、私たちは極力8月には山に入らないことにした。

ところがこのアブ、関東地方や中部地方の太平洋側にはあまりいないように思う。理由はわからないけど、ほとんど見かけない。
トパーズを探しに行った岐阜県中津川市にもほとんどいない。
ちなみに富山県はスゴイよ。


さて、アブの話ばかりしていてもしょうがない。問題の琥珀はどうなったのかというと、翌日、岩手在住の石友に案内してもらい、海岸に露出している8500万年前の地層から採集することができました。山と違って海岸にアブは一匹もいませんでした。

12-kohakusaishuuhuukei.jpg

 

なんて、かなり簡単に書いちゃったけど、琥珀って日本ではここ久慈市周辺でしか採れない超貴重品なのだ。

んー、「しか」っていうとまた苦情が来そうだな。
いちおう琥珀自体は日本全国で見つけることができるけど、それらはみんな小さくてキレイでない。宝石店に並んでいるような、大きくてキレイで実際にジュエリーとして販売されている琥珀はここ久慈周辺で「しか」見つけることができないということ。しかも、めったに見つからない超希少品でもある。

世界的にはバルト海のレッドアンバー。ドミニカのブルーアンバーが有名。どちらも色的に珍しく、ブルーアンバーは太陽光で蛍光して青くなっているんだけど、そうでない一般的な飴色の琥珀の方が、暖かい感じがして私は一番好きだ。

12-kyuujikohaku2.JPG

 

12-kyuujikohakukeikou1.JPGのサムネール画像

 

ところで、琥珀とは太古の針葉樹や広葉樹の樹液が長い年月をかけて固まったものである。宝石ではあるが真珠やサンゴと同じ有機質宝石。しかも植物が作り出したものであって「石ではない」ことが最大のポイント。こんな宝石は琥珀以外にない!
さらにその場にいた虫を取り込んでいるものもある。それらは「虫入り琥珀」と呼ばれ非常に珍重されている。

琥珀の最大の特徴というと、やっぱりその「軽さ」じゃないかな。それはもう軽い軽い。普段から天然石の重量感に慣れていると、軽すぎてビックリしてしまうかもしれない。
どのくらい軽いかというと、真水には沈むけど海水には浮いてしまうくらい。それって、むちゃくちゃ軽いってことでしょ。
採集したとき、波打ち際の地層からも見つけたんだけど、取り出しに失敗してポロッと手からこぼれると波に乗ってどこかへ行っちゃう。石だったらその場にいてくれるからまだいいんだけど琥珀はダメ。あっという間にいなくなる。だから取り出すときは相当緊張してしまった(こぼすとカミさんが怒るから)。 
そんな努力の甲斐あって、人様に十分自慢できるくらいの琥珀を採集し大満足だったのでした。

12-kyuujikohaku a.jpg

 

12-kyuujikohaku b.jpg

 

12-kyuujikohaku c.jpg

 

それにしても海岸に琥珀だなんて、いいな岩手県。また行きたいな。

 

 その後、しばらくカミさんは家の中にいても、耳元で「(ブーンという)音がする」といってビクビクしていた。そして1年経った今でも、たまに夢を見てうなされている。
 

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