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地球のかけら

【最終回】日本の水晶 世界の水晶

2013年6月 1日

みなさん! ついにこの日がやってきました。

地球のかけら、今回が最終回です!!

2007年3月から2013年6月まで。6年ですよ、6年。
全92回。思えばたくさんの石を紹介したものです。
みなさん、いかがでしたか。少しはみなさんのお役に立てましたか。


さて、それでは最終回。
最終回にふさわしい石というと、これはもう水晶しかないでしょう。
鉱物は水晶に始まり水晶に終わる、とは鉱物趣味人のあいだで
昔から言われていることですが、まったくもってそのとおり。

カミさんが初めて買った鉱物もやはり水晶だったそうだ。
遥か昔(詳しくはいわない)、小学校1年生のときから欲しかったらしく、
お小遣いをためて3年生のときについに買ったんだそう。

ポリッシュされた山入り水晶(ファントムクリスタル)を
手にしたときは本当に感激したと言っていた。
ちなみに、3000円だったらしい。


「小学生がお小遣いをためるって、大変なんだからね」
とはカミさんの弁。

もちろん今でも大切にしてます。彼女の始まりの石ですからね。

92_00.jpg←始まりの石

この写真を見てもわかるように水晶はキレイだ。
しかも数が多い。まったくレアでなく世界中で産出する。
鉱物に興味のない人でも宝石の原石というと、まっさきに思い浮かべるのが
水晶のあの形であることからも、水晶が最も身近な鉱物であるといえる。  

しかし、だからこそ水晶は奥が深いのだ。

産地によってすべて違う形、違う色、違う透明度。
にもかかわらず、一目で水晶とわかるその規則性。
水晶と聞くだけで……、ああ、なに、この安心感。


そんなわけで、これまで何回も水晶を紹介していますが、
あらためて日本の水晶と世界の水晶を見てもらいたいのです。

今回紹介する水晶はすべてカミさんのコレクションからの抜粋です。

先ずは日本から。

国内における紫水晶3大産地。
上から順に石川県尾小屋鉱山、栃木県足尾銅山、宮城県雨塚山

92_01ogo.jpg
尾小屋鉱山産は砲弾型というか丸まるとした形が多い。桃色がかった紫。

92_02ashi.jpg
足尾銅山産は細身のスラッとしたタイプ。透明度が高く青みがかった紫。


92_03ama.jpg
雨塚山産は赤みがかった紫で同じく透明度がとても高い。

紫水晶は特別な感じがするので先に並べてみました。
続いて各地の水晶を。

92_04tama.jpg
岩手県玉山金山産
わりと端正な水晶らしい水晶。不純物が無く無色透明。


92_05ara.jpg
秋田県荒川鉱山産
白い水晶に抹茶を振りかけたような水晶。この色の付き方はここだけのもの。


92_06omi.jpg
長野県麻績(おみ)産
これぞ正しく氷の化石。とっても冷たくて美味しそう。スケルトンっぽい。


92_07kuro.jpg
富山県黒岳産
見てのとおり透明感がとても高いけれど、条線に特徴あり。真っ直ぐにスラッとしている。


92_08touge.jpg
山梨県水晶峠産
紫とか針入りも出るけれど、この美しいファントムこそがこの産地の特徴だと思っている。


92_09take.jpg
山梨県竹森産
細い針状のトルマリンが特徴。透明感が高く濁ったものはあまり見たことがない。


92_10kaki.jpg
岐阜県柿野鉱山産
細かすぎる毛状のインクルージョンが緑の原因。入り方の度合いはひとつひとつ違う。

92_11chin.jpg
岐阜県ちんの峠産
基本煙水晶。透明なもの黄色いものもある。双晶も多い。


92_12nobe.jpg
愛知県延坂(のべさか)産
とにかくキラッキラしている。このキラキラこそが特徴。とくに群晶がキレイ。


92_13goyo.jpg
奈良県五代松(ごようまつ)鉱山産
黄色が特徴の水晶。さらに結晶の中が空洞になっている。
写真のものは下3分の1が空洞だけれど、
ものによっては上から下までストローのように空洞になっている。


92_14obi.jpg
大分県尾平鉱山産
何と言ってもマリモ入り。小さな丸い粒々といえばココ。内包物好きにはお勧め。


続いて外国の水晶。
 

92_21mex.jpg
メキシコ産


92_22chi.jpg
中国産


92_23bra.jpg
ブラジル産


92_24bra.jpg
ブラジル産


92_25oil.jpg
不明

92_26rut.jpg
不明


92_27ske.jpg
不明

92_28wa.jpg
不明

あはは、外国産、あんまり持ってなかったよ。
っていうか、たくさんあるんだけれど、何だかブラジル産ばっかりだった(ブラジルってすごいね)。

いや私ね、日本産と外国産を並べて言いたいことがあったのですよ。
「みなさん気づきましたか?」って言おうと思っていたんですよ。

でも、まあしょうがない。自分で言っちゃいます。
で、何を言いたかったのかと申しますと、

「日本産の水晶ってものすごく種類が多いでしょ」ってこと。

外国ってたくさん水晶が産出するけれど、産地による違いってあまりないんだよね。
ひとつの国から産出する水晶はだいたいどれも同じような感じ。
もちろん、内包物ということで見るとかなり違いはあるけれど、結晶の形ってことで見てみると、
そんなに違わない。

それに比べて日本は産地ごとの形が違いすぎるんです。

何だか世界中の水晶が集まっているみたい。
 
さらに言うなら、水晶に限らず世界で見つかっている石はほぼすべて日本でも見つかっている。
なんだか日本って世界の縮図のような気さえしてきます。

ここ数年、パワースポットだ何とかだって言いますけれど、もしそういうのを信じるとするならば、
日本って国中がパワースポットなんじゃないのかなって思うんです。
日本ってスゴイって思わない?
そんな日本に住んでいる私たちはとっても幸運だと思っています。  
 

それではいよいよお終いです。
これまで「地球のかけら」を読んでくださった皆様に心よりお礼を申し上げます。
「地球のかけら」が皆様にとってより充実した石趣味の一役を担えたとしたなら、
これほど幸せなことはありません。
またどこかでお会いできる日を楽しみにしています。
ありがとうございました。


辰尾良二・辰尾くみ子

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