【第35回】

2008.08.01

太陽光と蛍光灯で青緑、白熱灯で赤に見えるアレキサンドライト。
そして、丸いカボッションにカットされたその真ん中に一条の光のスジが入り、まるで猫の目のように見えるキャッツアイ。


今回はアレキサンドライトとキャッツアイの2本立てです。


え? それって、1本立てでしょって思った人はいるかな。 


それとも、逆にそう聞いて「なんで1本立て?」って思った人の方が多いかな。


そうなんですよね、私も最初は信じられませんでした。だって似ても似つかないでしょ。
まさかこの2つが同じ石だなんて。

この2つの石、鉱物的にはどちらもクリソベリル(金緑石:きんりょくせき)ということになる。
んー、でも単なるクリソベリルというよりも、その変種という感じだね。

クリソベリル(ウィキペディアより)
(↑クリソベリル 画像はウィキペディアより)


ところで、クリソベリルって売っているところ見たことある?

そうなんですよ。この石って淡い黄緑でキレイはキレイなんだけど地味なんですよ。

だから鉱物を専門に扱っているようなお店じゃないと売っていない。
クリソベリルには悪いけど、ハッキリいってこの石よりキレイな石はいくらでもあるんです。


ところが! ところがですよ、アレキサンドライトそしてキャッツアイという個性を
与えられた瞬間、クリソベリルはこれでもかというくらいに輝きを放つんです。



ロシア皇帝アレキサンドル2世の誕生日にロシアで見つかったことからこの名前がつけられたアレキサンドライト。

アレキサンドライト(ウィキペディアより)
(↑アレキサンドライト 画像はウィキペディアより)

それにしても、なんで色変わりがおこるのか。
 

>黄色系スペクトルを吸収するクロムを含有し、また石が反射する光に赤色要素と
>緑色要素の両方が平均的に存在し、青みが強い光線の元では青色系の色を、
>赤みが強い光線の元では赤色系の色を反射するためである(wikipediaより抜粋)。


なんだか難しいこと書いてあるけど、まあ黄色い光は反射しないっていってるんだね。

だから、紫外線の多いところでは青く、そうでないところでは赤いっていうんだと思う。

とにかくアレキサンドライトは色変わりが命。色変わりのよくわからないアレキはただのクリソベリル。

選ぶときは少しでもハッキリ色変わりするものを選びましょう。



そして、もうひとつの個性、キャッツアイ。

こちらは1000年以上も古くから知られている石で、その昔から「眉間に当てると先見の明が得られる」
といわれていたり「魔よけ」の効果があるといわれているんだ。



キャッツアイ(ウィキペディアより)

(↑キャッツアイ  画像はウィキペディアより)


猫の目のように光る一条の光の線はシャトヤンシー効果と呼ばれるもの。
これこそがキャッツアイたるゆえん。小さい針状の鉱物が内包物として規則正しく整列する事によって発生している。 
そして、キッチリ整列していればしているほど、鋭い眼光が光る。


でも、カボッションにしたとき、石の厚みが厚いほどシャトヤンシーはハッキリ出て、
薄くなるとぼやけて来るという点がちと困りもの。

なぜ困るのかというと、シャトヤンシーを優先すればするほど、同じカラット数だったとしたら
石が小さく見えてしまうからなんですよ。



ある程度見応えのある大きさで、さらにシャトヤンシーのハッキリしたもを選ぶと、
値段がどんどん上昇していってしまう。それが最大の問題なんだよね。

それから色もかな。光を横から当てたとき、シャトヤンシーを挟んで左右で色が違う。
ハニーイエローとアップルグリーン。これがもっとも価値が高いとされている。
本当はそういうのがいいんだけど、そうとう数が少ないから少しでも近いものを見つけられたらいいね。
 

最近はトルマリンキャッツアイとかローズクオーツキャッツアイとか、キャッツアイと名のつく石が
たくさんあるけれど、キャッツアイはあくまでもシャトヤンシー効果のこと。けして石の名前なわけではない。

クリソベリルキャッツアイだけが、その歴史を鑑みて「キャッツアイ」とひとことで呼ぶ慣習になっている。
 

さて、ここまでクリソベリルを特集してきたわけだけど、当然のことながら、この2つの個性を
兼ね備えたアレキサンドライト・キャッツアイもある。

これは、アレキサンドライトの一種として存在している。
けして「クリソベリルキャッツアイが色変わりする」ものではないので注意してください。



そういえば、タイガーズアイ(タイガーアイ)もシャトヤンシーを示すよね
この石もカボッションにカットしたら「タイガーズアイキャッツアイ」ってなるのかな。
タイガーズアイ(タイガーアイ)についてはアスベストに石英がしみ込んでできているから、ハッキリ別物。


シャトヤンシーはシャトヤンシーだけど「虎目」って名前がちゃんとついているんだから、
わざわざ「猫目」にする必要はないってことです。
 


さあ、夏休みも本番。
私なんか8月になった時点で「もう夏休み終わっちゃう」って悲しくなっていたんですけど、みなさんはいかがですか。
事故などに気をつけてステキな夏を過ごしてくださいね。

 

 

プロフィール

妻・くみ子の趣味に無理矢理つき合わされた形で始めた宝探しにハマッてしまい、その紀行文を小学館のアウトドア雑誌BE-PALに連載。素人でも採取可能な天然石の採集紀行や石の選び方・魅力やそれにまつわる幅広い知識を生かし活動の幅を広げている。

著書の紹介

宝石・鉱物おもしろガイド
消費者の立場から見た初の本。鑑賞から採集までわかりやすく解説。これ一冊あれば宝石のすべてがわかる!!鉱物採集のための産地の情報付き。
(税込み1,680円)
週末は「婦唱夫随」の宝探し
小学館のアウトドア雑誌「BE-PAL」に14回にわたって連載していたものの単行本化。宝石はブラジルやスリランカなど、一部の国からだけ産出するわけではなかった。日本産の宝石を求め、軽自動車で全国を旅する。「宝石大好き」というだけの単なる主婦が、ダンナを引っ張り回し宝石を探し当てていく。
(税込み1,680円)
アナヒータ各店で発売中
ご意見・ご感想はこちら