【第27回】美しい色合いにうっとしてしまう石、トルマリン

2008.04.01

パワーストーンとかに限らずだけど、ここ10年で石がグッとメジャーになった立て役者はトルマリンだと思うんだ。

グリーントルマリン


ほら、マイナスイオンが出ますってことで取りあげられて、ちょっとしたブームになったでしょ。




でもさ、ハッキリいってマイナスイオンってなんだかよくわかんないんだよね。
マイナスばかり持ち上げられているけど、じゃあプラスの方はどうなってるんだって思うわけ。



トルマリンの周囲にマイナスが発生するんだったら、トルマリン自体は
プラスに帯電して、たまに触ったりするとビリビリきちゃうんじゃなかろうかって感じもするけど、そんなことないし。


それから、ご飯を炊くときに一緒に入れるとおいしく炊けるとか、
お風呂に入れると美容と健康にいいとかって、
何かいろんなことが勝手に暴走しているって感じ。



「ちょっとアンタたち、アンタたちに私の何がわかるっていうのっ!」なんてトルマリンの声が聞こえてきそう。

と、こんなことを書いていたら、トルマリンを全否定しているみたいだけど、でもねトルマリンが電気を発生することはまぎれもない事実なんですよ。



日本名も電気石(でんきいし)っていうくらいだからプラスとかマイナスとかに深い関わりがあることは間違いない。



トルマリンが電気を発生するのは熱せられて高温になったときや圧力がかかったとき。当然、地球には気温もあれば気圧もあるから、トルマリンは電気を発生し続けていることになる。


たぶんそこからマイナスイオンってことに繋がっているんだろうね。



そんなトルマリン。トルマリンという名称は含んでいる成分により何種類にも分かれるグループの総称。以前紹介したガーネットグループと同じでトルマリングループを作っている。


その中でメインになっている成分の名を取って○○電気石と名前がついている。英名はぜんぜん関連のない名前がそれぞれについているけど。



憶えておくべき名前はふたつ。


鉄電気石(てつでんきいし:ショール)とリチア電気石(リチアでんきいし:エルバイト)。 
鉄電気石(wikipediaより)
(鉄電気石:wikipediaより抜粋)



前述したマイナスイオンが出るってことでトルマリンを有名にした立て役者が鉄電気石。あの真っ黒い石炭みたいな結晶のトルマリン。ショップでも1個数百円で売っているよね。


最近、トルマリンサウナっていうのがウチの近所にできたけど、この鉄電気石を大量に使っているんだと思う。




そして次が重要だよ。そう、もうひとつのトルマリン。



リチア電気石こそがトルマリンの代表。宝石として指輪やネックレスになっているトルマリンなのだ。




リチウムを主成分とするこのトルマリンは赤・燈・黄・緑・青・藍・紫と、とってもたくさんの色を持っている。しかもパステルカラー。
鉱物名はあくまでもリチア電気石でひとくくりなんだけど、とにかくキレイだからそれぞれの色に宝石名がついている。



★インディゴライト
 濃い青をしたリチア電気石。
 青水晶と呼ばれている水晶の多くは、インディゴライトを含んで青くなっているんだよ。
インディゴライト(ブルートルマリン)



★ルーベライト
 ピンク~赤のリチア電気石。
 どちらかというとショッキングピンクが多いから、好みの分かれるところかな。
ルーベライト



★パライバ
 青色発光ダイオードのような色をしたリチア電気石。
 かなり希少。ブラジルのパライバ州で1989年の1年間だけ産出して絶産。
 これまではパライバ州で産出したものだけをパライバと呼んでいたけど、
  それだと希少すぎてあまりに高価になりすぎる。

パライバ


  そのため2007年から同じ色合いのトルマリンなら産地に関わらず、
  パライバと呼んでいいことになった。
 真(?)のパライバにこだわるなら、産地をしっかり確認するべき。


  有名どころのトルマリンというとこのくらいなんだけれど、ところがところが、
  トルマリンには他の石には見られない色の特徴がある。
  うーん、これこそトルマリンの真骨頂かもしれない。
 それは、なんと! 2つ以上の色がひとつの結晶の中に存在していること




★バイカラー
 結晶の上下で色が違う。こんなこと他の石だったら大騒ぎになるけど
  (赤と青のバイカラーコランダムとかね)、トルマリンではめずらしいことじゃない。
 一番人気は赤と緑のバイカラー。

バイカラー



★ウォーターメロン
 その名の通りスイカ。結晶の内と外で色が違う。
 結晶を輪切りにしてみると外側が緑で内側が赤。単純においしそう。
 TOPの写真の緑の結晶もよくよく見るとウォーターメロンになっている。
  割ればすぐにわかるけど、もったいなくてそんなことできるわけない。
 このウォーターメロン、そんなに高くないし比較的よく売っているから、
  持ってない人はぜひ手に入れてみて。私はトルマリンの中で一番好き。
ウォーターメロンウォーターメロン2


というわけで、これら以外にもたくさん名前のついているトルマリン。あまりにも名前が多すぎて宝石業界はほとんど混乱状態らしい。
この混乱を避けるためにも、上記以外はグリーントルマリンとかイエロートルマリンとか色の名前をつけて呼ぶようにとG.I.A.JAPANは推奨しているよ。






さて最後に、このリチア電気石。日本では3か所で見つかっている。

岩手県大船渡市、茨城県常陸太田市、そして福岡県福岡市。
このうち茨城県と福岡県の産地は産地自体が国の天然記念物に指定されて採集はできない。

それなら岩手県の方は採集できるのか。天然記念物に指定されていないのならもしかしてと思ってしらべてみたら、なんと漁港を作る際に全部コンクリートで埋めてしまったそうで……。

プロフィール

妻・くみ子の趣味に無理矢理つき合わされた形で始めた宝探しにハマッてしまい、その紀行文を小学館のアウトドア雑誌BE-PALに連載。素人でも採取可能な天然石の採集紀行や石の選び方・魅力やそれにまつわる幅広い知識を生かし活動の幅を広げている。

著書の紹介

宝石・鉱物おもしろガイド
消費者の立場から見た初の本。鑑賞から採集までわかりやすく解説。これ一冊あれば宝石のすべてがわかる!!鉱物採集のための産地の情報付き。
(税込み1,680円)
週末は「婦唱夫随」の宝探し
小学館のアウトドア雑誌「BE-PAL」に14回にわたって連載していたものの単行本化。宝石はブラジルやスリランカなど、一部の国からだけ産出するわけではなかった。日本産の宝石を求め、軽自動車で全国を旅する。「宝石大好き」というだけの単なる主婦が、ダンナを引っ張り回し宝石を探し当てていく。
(税込み1,680円)
アナヒータ各店で発売中
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