【第26回】アゲートとカルセドニー

2008.03.15

ねえ、今回アゲートについてなんだけど、アゲートってメノウのことだよね。

そうよ。

でさ、登場人物が多すぎて分けわかんないんだけど。

そうね、確かにちょっとした違いでどんどん名前はかわるわね。


ほら、カーネリアンとかジャスパーとかオニキスとか、どれがどれだかよくわかんないんだよ。このままじゃ原稿書けないんだよ。ねえ、ちゃんと教えてくんない。

ええー、ちゃんとって、今まで何度も教えてるじゃない。

教えてるって、君が勝手にしゃべってるだけじゃん。憶えてないよ!

かっ勝手にって……、ちょっと何それ。


あ、あ、ごめんごめん。

こ、今度はちゃんと聞くからお願い、教えて。

……わかったわよ。ちゃんと聞くのね。

う、うん。

じゃあ、まずはちゃんと定義しましょ。

定義? 定義って何?

どういうふうに区別されてるかってことなんだけど、とりあえず大元は石英よ二酸化珪素。

うん。それは知ってる。

その石英の中でね、結晶するとかしないとか、どういうふうに固まるとかで種類が分かれるの。
水晶・オパール・天然ガラス、そして玉随(ぎょくずい)のだいたい4つのグループかな。 
   
ふーん。

水晶はわかるわよね。その中でアメジストとかシトリンとかに分かれるの。
オパールはまあ、あのオパール。遊色があるとかないとかね。
天然ガラスは黒曜石(オプシディアン)とかモルダバイトとか。
で、メノウとかは石英の粒がぎゅっと固まった玉随グループの中に含まれるのよ。

玉髄

玉随グループ?
でも、玉随っていう石もちゃんとあるじゃん。

それは、水晶グループの中にアメジストやシトリンと並んで無色の水晶があるのといっしょ。
玉随グループの中にもちゃんと玉随(カルセドニー)があって、メノウとは区別されているの。


じゃあ、どういうふうに区別されてんの?


うん。登場人物としては玉随グループの中が一番たくさんいるの。さっきいってたカーネリアンとかオニキスとかも玉随グループの中の石ね。ここが多すぎてぐちゃぐちゃになっちゃうのかな。


そうだよ。毎回、名前と色を君に教えてもらうけどさ、5分後には忘れてるもん。


ああ、そうなの。


で、基本は無色。無色の玉随があって、それに色がついていろいろ分かれるの。

ってことは、玉随が縞々になったらメノウってこと?



平たくいえばそうね。その中で色の組み合わせでまた名前がつくのよ。
赤と白の縞メノウはサードニクス。
黒白はオニキス。
水色と白ならブルーレースアゲートね。

サードオニキス


ブラックオニキスとかホワイトオニキスっていうのを見たことあるけど。

ビーズのことね。
たぶんオニキスの黒い縞を削りだしたものと白い縞を削りだしたものだと思うよ。


赤と青とか黒と赤とかはないの?


それは……、見たことないなあ。うん、ない。ないんだと思うよ。


でもさ、ウチにもあるけどお土産で売ってるメノウのコースターっていろんな色があるよ。



コースターは染色しているんだよ。ほら、コースターってお皿としてテーブルの上で使うものでしょ。華やかな方が楽しいじゃない。


でも、染めてるってことは色落ちしないの。


だいじょうぶよ。私だって汚れたら洗剤つけてジャブジャブ洗ってるもん。
それから、メノウはね中が空洞になっていて、そこに水晶がビッシリはえているものがあるのよ。



よく売っているやつね。半分に切って中が見えるようになっているメノウ。あれはきれいだと思うな。
あ、水入りメノウっていうのもウチにあるじゃん。ジャブジャブ音のするやつ。


そうそう、その空洞の中に太古の水が取り残されてるのね。なんかすごいよね。
 


最近よく聞く天眼石もメノウだよね。あれは何なの?


天眼石は商品名よ。チベットアゲートとかアイアゲートとかの名前になっていることもあるし。

縞々を上手にカットして目のように見せているわけだから、赤いものはサードニクス、黒いものはオニキスよ。

天眼石:黒と赤


ふーん。最初にいってたオニキスはメノウだってわかったよ。
じゃあ、カーネリアンとかジャスパーってなんなの?


赤くなった玉随がカーネリアンなのよ。
カーネリアン



ほかに緑色のクリソプレース、青いブルーカルセドニーあたりが有名ね。

クリソプレーズ

これらは玉随グループの中にある玉随たちよ。縞がなくて一色なの。

カーネリアンってここに入るんだ。でもジャスパーも一色じゃなかった?


ジャスパーはね碧玉(へきぎょく)っていって、やっぱり玉随グループのなかのひとつなのよ。


ええーっ、ジャスパーも一色なんだから玉随でいいんじゃないの?


それはダメ。

このグループの石は色の原因が違うのよ。


メノウと玉随はイオンによる発色でその石が色を持っているんだけど、ジャスパーは違う鉱物が入り込んで色がついているの。



だから、透明感がないの。
佐渡の赤玉や出雲の青玉も碧玉ね。
ジャスパー(新潟産)ジャスパー(出雲)

ふーん。じゃあ玉随グループにはメノウグループと玉随グループと碧玉グループがあるってこと?


そういうこと。わかった?

 
……どうかな。


……。



ところでさあ、知ってる? オニキスで作られているイタリアンジュエリー。


えっ? メノウって宝飾品になってるんだ。


そうよ、すんごくキレイなの。私もひとつ欲しいんだけどな。


へー、なに?


カ・メ・オ。


……カメオ?


そう、石に人物像とか風景とかを彫り込んで作るの。


オニキスの黒い部分を下地にして白いところを彫るのね。どんどん彫っていくとね、
下地の黒い部分が透けてきて、グラデーションがとってもキレイなの。


え? それって貝でできているのなら見たことあるけど。


それは、シェルカメオ。


オニキスの代用品として貝殻を使っているのよ。貝殻だと簡単に削れるからね。


へー、でもそういうのって機械で彫ってるんじゃないの?


最近は大量生産でそういうのもあるかもしれないけど、いい物は職人の手彫りよ。


詳しいじゃん。


わたし、カメオの工場を見に行ったことあるもん。


高いの?

2センチくらいの小さいものなら5万円くらいかな。


あそ。


プロフィール

妻・くみ子の趣味に無理矢理つき合わされた形で始めた宝探しにハマッてしまい、その紀行文を小学館のアウトドア雑誌BE-PALに連載。素人でも採取可能な天然石の採集紀行や石の選び方・魅力やそれにまつわる幅広い知識を生かし活動の幅を広げている。

著書の紹介

宝石・鉱物おもしろガイド
消費者の立場から見た初の本。鑑賞から採集までわかりやすく解説。これ一冊あれば宝石のすべてがわかる!!鉱物採集のための産地の情報付き。
(税込み1,680円)
週末は「婦唱夫随」の宝探し
小学館のアウトドア雑誌「BE-PAL」に14回にわたって連載していたものの単行本化。宝石はブラジルやスリランカなど、一部の国からだけ産出するわけではなかった。日本産の宝石を求め、軽自動車で全国を旅する。「宝石大好き」というだけの単なる主婦が、ダンナを引っ張り回し宝石を探し当てていく。
(税込み1,680円)
アナヒータ各店で発売中
ご意見・ご感想はこちら